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2017 年度 実施状況報告書

多点観測に基づく全身持久力と生活習慣病発症リスク:全身持久力を高く保つことの意義

研究課題

研究課題/領域番号 16K16591
研究機関東北大学

研究代表者

門間 陽樹  東北大学, 医工学研究科, 助教 (90633488)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード全身持久力 / 糖尿病 / 高血圧 / コホート研究 / 健康づくりのための身体活動2013
研究実績の概要

平成29年度は、平成28年度の研究テーマであった糖尿病をアウトカムにした研究を継続して実施した。先行研究において、全身持久力レベルが高ければ糖尿病の発症リスクは低いことが報告されているが、これらの研究はベースラインの一時点のみの影響について検討されている。糖尿病の予防に対して、継続的に全身持久力を高く維持することが必要なのか、それとも、一時的にでも高くなれば糖尿病の予防に影響があるのかについては明らかにされていない。そこで、日本人男性を対象に最大23年間追跡したコホート研究を実施した。追跡開始以前の7年間で測定された全身持久力をもとに、一時的に全身持久力が高くなったことを示すスパイクの指標と、継続的に高いことを示す指標をそれぞれ算出し、これらの指標を用いて対象者を四分位にそれぞれ分類し、糖尿病の発症リスクを比較した。その結果、全身持久力のスパイクを示す指標と糖尿病の発症リスクの間には関連は認められなかったが、全身持久力が継続的に高ければ、糖尿病の発症リスクは低いことが明らかとなり、この関連は追跡開始時点の全身持久力を考慮しても認められた。
さらに、本研究の知見をより広い社会的観点から検討するため、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動2013」で設定されている全身持久力の基準を継続的に達成することで糖尿病の予防につながる可能性があるかについて検討を行った。その結果、7年間全体を通して全身持久力の基準を達成していなかった対象者と比較して、達成していた対象者の糖尿病のリスクは低い値を示した。
次に、平成29年度は高血圧をアウトカムにした研究を実施した。上述の基準の達成回数と高血圧の発症リスクとの関連について検討を行っており、全身持久力の基準の達成回数と高血圧リスクの間には明確な負の量反応関係が認められており、現在、国際誌に投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度に計画されていた糖尿病をアウトカムにした研究については、平成29年度で2本の国際誌に受理された。さらに、平成29年度に計画されていた高血圧をアウトカムにした研究については、現在投稿中であるため、当初の計画通り、おおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

平成30年度は、現在投稿中の高血圧をアウトカムとした研究の論文投稿を継続して行う予定である。さらに、これまでと同様のアプローチを用いて、脂質異常症をアウトカムにした研究に取り組む予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、データセットおよび解析に関する人件費を使用せずに済んだことが主な理由となっている。現在の状況を踏まえ、翌年度も解析作業を想定した人件費は発生しないと考えられるため、翌年度分として請求した助成金と合わせて、主に成果発表に関する旅費や投稿料等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 集団を対象とする疫学研究とN = 1研究2018

    • 著者名/発表者名
      門間陽樹
    • 雑誌名

      バイオメカニズム学会誌

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] Importance of Achieving a “Fit” Cardiorespiratory Fitness Level for Several Years on the Incidence of Type 2 Diabetes Mellitus: A Japanese Cohort Study2017

    • 著者名/発表者名
      Haruki Momma, Susumu S. Sawada, Robert A. Sloan, Yuko Gando, Ryoko Kawakami, Shin Terada, Motohiko Miyachi, Chihiro Kinugawa, Takashi Okamoto, Koji Tsukamoto, Cong Huang, Ryoichi Nagatomi, Steven N. Blair
    • 雑誌名

      Journal of Epidemiology

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      https://doi.org/10.2188/jea.JE20160199

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Consistently high level of cardiorespiratory fitness and incidence of type 2 diabetes2017

    • 著者名/発表者名
      Momma H, Sawada SS, Lee IM, Gando Y, Kawakami R, Terada S, Miyachi M, Kinugawa C, Okamoto T, Tsukamoto K, Huang C, Nagatomi R, Blair SN
    • 雑誌名

      Medicine & Science in Sports & Exercise

      巻: 49 ページ: 2048-2055

    • DOI

      10.1249/MSS.0000000000001319

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 「○○は健康にいい」と言うためには?~身近な疑問に答えを出す疫学手法~2017

    • 著者名/発表者名
      門間陽樹
    • 雑誌名

      東北医学雑誌

      巻: 129 ページ: 50-50

  • [学会発表] 体力測定・運動負荷試験の評価・活用方法2018

    • 著者名/発表者名
      門間陽樹
    • 学会等名
      平成29年度運動指導従事者研修会
    • 招待講演
  • [学会発表] Effect of cardiorespiratory fitness on blood glucose trajectory with aging: a cohort study of Japanese men2017

    • 著者名/発表者名
      Momma H, Sawada SS, Shimada K, Gando Y, Miyachi M, Kinugawa C, Okamoto T, Tsukamoto K, Huang C, Nagatomi R
    • 学会等名
      American College of Sports Medicine 64th Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 全身持久力の基準の維持と高血圧発症リスク:コホート研究2017

    • 著者名/発表者名
      門間陽樹, 澤田亨, 丸藤祐子, 宮地元彦, 福中康志, 岡本隆史, 塚本浩二, 黄聡, 永富良一
    • 学会等名
      第72回日本体力医学会大会
  • [学会発表] 身近な運動疫学研究の実施と注意点2017

    • 著者名/発表者名
      門間陽樹
    • 学会等名
      第72回日本体力医学会大会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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