研究課題
平成30年度は、平成29年度に引き続き、高血圧をアウトカムにした研究を実施した。追跡開始時点およびそれ以前に全身持久力を測定した高血圧ではない男性6653人を23年間追跡して、厚生労働省が「健康づくりのための身体活動基準2013」で設定している全身持久力の基準の達成回数によって、高血圧の発症リスクが異なるか検討した。その結果、追跡開始時に基準を達成していたグループは、達成していなかったグループと比較して、21%ほど高血圧の発症リスクが低い値を示し。さらに、追跡開始以前の6年間における基準達成回数(測定は年に1回、測定回数の範囲は0回~7回)を算出し、高血圧の発症リスクを比較した。その結果、基準の達成回数が多くなればなるほど、高血圧の発症リスクは低い値を示した。さらに、基準を達成した回数が3回以上になると、高血圧の発症リスクに明確な違いが認められ、0回と比較して1~2回では高血圧発症リスクに差は認められないという結果を得た。したがって、本研究の結果より、「健康づくりのための身体活動基準2013」で定められている全身持久力の基準を継続的に達成する(具体的には6年間で3回程度達成する)ことが高血圧の予防につながる可能性が明らかになった。高血圧の総患者数は2014年時点で1010万人を超え、高血圧は国民病であると言われている。昔と比べると、高血圧の治療や管理はうまくいっていると言えるが、依然として服薬など患者に負担がかかる場合も多く、高血圧による社会的負担もいまだに大きいことに変わりはない。したがって、高血圧を予防することが重要なポイントとなる。高血圧の予防には、ランニング等の運動によって全身持久力を高く保つことが有効であるとされており、本研究の結果は、「どの程度の全身持久力を、どのくらいの期間、高く保つ必要があるのか」という疑問に答えるものである。
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J Hypertens
巻: 37 ページ: 820-826
10.1097/HJH.0000000000001935.