高齢者の社会参加の機会として様々な種類のグループや会が存在するが,運動・スポーツの会への参加は,介護予防効果が特に大きいことが示唆されている.本研究では10万人超の高齢者を対象とした縦断追跡調査を実施し,課題1: 高齢者が会に参加してどのような運動・スポーツの種目を実践しているのか,課題2: 会に参加してどのような種目を実践する高齢者はその後の要介護認定率が低いのかを明らかにすることを目的とする.令和元年度の研究実施計画は,前年度までの分析結果について論文を執筆することに加え,ベースライン(平成28年度)調査に対する追跡データを収集し,縦断コホートデータを構築することであった. 前年度の分析結果: 1)男女いずれもグループに参加してゴルフを実践している者では,主観的健康感が高く,抑うつが少なく,笑いの頻度が高いこと,2)女性に限定すると,グループに参加してウォーキングを実践している者では,それらの項目がいずれも良好であること,3)登山,ランニング・ジョギング,ダンスなどで,いずれかの項目と有意な関連が確認されたことなどを論文にまとめ,Journal of Sports Sciencesに投稿し採択・掲載された. また,2019年11月から2020年1月にかけて63市町村の高齢者約37万人を対象とした郵送調査を実施し,縦断コホートデータの構築に着手した.また,参加市町村から要支援・要介護認定データや死亡状況に関するデータを入手し,それらのデータの整備にも着手した.
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