研究課題/領域番号 |
16K16600
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮田 聖子 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (40560917)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 質量分析 / 睡眠呼吸障害 / 脂質代謝 / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
睡眠呼吸障害は、心筋梗塞、心不全や脳卒中など様々な心血管疾患の危険因子であることはよく知られている。研究代表者はこれまで、睡眠呼吸障害による血中の一酸化窒素や心血管機能への影響について研究してきた。睡眠呼吸障害の第一治療選択である持続気道陽圧療法によりこれらの心血管疾患の発症リスクが抑制されることも報告されている。この発症抑制のメカニズムには持続気道陽圧療法による血圧低下効果のみならず、中性脂肪やコレステロールの低下作用による影響も報告されている。したがって、睡眠呼吸障害患者において、将来的な心血管疾患の発症や疾患増悪を予防するためには、十分な治療により患者の脂質代謝異常をコントロールすることが重要である。しかしながら、睡眠呼吸障害における脂質代謝異常となるメカニズムについては十分に検討されていない。近年、質量分析計により包括的な脂質メタボローム解析が可能となり、ヒトにおいてもその代謝メカニズムを検討することができるようになった。本研究では、脂質質量分析法を用いて、①睡眠呼吸障害患者を対象に、健常人との比較および重症度別の比較により、睡眠呼吸障害の脂質代謝異常への影響、②炎症に関わるとされている脂肪酸領域を対象に睡眠呼吸障害の炎症へのかかわり方について検討する。 前年度に引き続き検体収集および睡眠ポリグラフ検査を継続した。収集した血液は遠心分離後、血漿部分を-80℃で保管し、解析を順次行っている。また、同時に健常人の検体を収集し、睡眠に関連した情報も蓄積した。これらの対象で、睡眠時間と血中の脂質メタボロームとの関連を検討し、いくつかの脂質分子種において睡眠時間と関連することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の異動と研究環境のセッティングおよび病気等の理由により当初計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに、検体収集および質量分析のための研究環境セッティングを終えられた。 本年度は、検体収集を再開し、解析に必要な検体数を集める。さらに、検体収集と質量分析を同時に進め、睡眠呼吸障害と関連する脂質分子種の検討をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は患者検体、コントロール検体収集のための体制づくりのため、検体収集が思うように進まず、研究費使用が少なくなった。 2019年度は、これまでに収集した検体の測定を進めていくため、これらの消耗品や機器使用料に充てていく。
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