研究課題
平成29年度は、Nox4欠損マウスを用い、心筋梗塞後心不全モデルマウスおよびアンジオテンシンII(Ang II)投与モデルマウスにおけるNox4の役割を検討した。心筋梗塞後心不全モデルマウスでは、Nox4欠損により、有意ではないものの筋萎縮、ミトコンドリア機能(電子伝達系複合体、PGC-1a、TFAM、SIRT1)、Aktリン酸化、MuRF-1、Atrogin-1、ARG2の改善傾向がみられた。同実験においては、解析に用いるための十分な匹数を用意することができなかったこともあり、傾向にとどまった可能性が考えられる。一方Ang II投与モデルマウスでは、心筋梗塞マウスと同様に筋萎縮が誘発され、その結果に一致しミトコンドリア機能低下、Aktリン酸化低下、MuRF-1、Atrogin-1およびARG2増加がみられた。Nox4欠損マウスでは、ARG2を除いた全ての指標において有意に改善した。この結果から、Nox4はARG2以外の因子を介して筋萎縮を制御している可能性が考えられた。Nox4がどのような因子を介して筋萎縮を制御しているか検討するため下流因子を調べたところ、レドックス制御にかかわる中心分子であるNF-E2-related factor 2(Nrf2)の関与が明らかとなった。つまり、心不全による筋萎縮はNox4を介したNrf2制御が重要な役割を果たしていることが示された。研究実績の一部は国際学術誌へ投稿し、採択された。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度は、繁殖に時間を要したものの、計画当初通りNox4欠損マウスを用いた実験を遂行することができた。
今後は、骨格筋特異的Nox4欠損マウスを用いた検討をする予定である。
購入予定であった生化学および分子生物学実験試薬等の価格と実際の購入価格に違いが生じたため。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)
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