研究課題
これまでの研究結果から、幼若期(被験動物)における鉄欠乏状態は①骨脆弱化を招くこと、②諸臓器においてタンパク質の酸化を亢進させ、③各種ミネラル分布も変動させるといった結果を得ている。しかしながら、『鉄欠乏状態が何故、骨脆弱化とビタミン類代謝関連酵素を変動させるのか?』については明らかにされていない。そこで本研究では、慢性的な鉄欠乏状態がビタミン類代謝産物の体内動態と加齢性疾患に及ぼす影響についてin vivoおよびin vitroの両面から検討を行った。In vivoの結果から、慢性的な鉄欠乏状態は(1)肝臓・血漿中α-トコフェロールが通常食群に対して増加すること、(2)脂質過酸化が亢進することを明らかにした。In vitroの結果から、肝臓油彩細胞であるFAO細胞を用いた鉄枯渇条件下において、抗加齢タンパク質でもありビタミンC律速酵素であるSMP30の発現が有意に低下することを明らかにした。以上のことより、慢性的な鉄欠乏状態はビタミン類の体内動態を変動させることで細胞老化を引き起こしていることが示唆された。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 82 ページ: 900-903