超高齢社会のわが国では、要介護の入り口とも言える健常とプレフレイルの境界を探ることで、介護予防への効果が期待できる。2年間のコホート調査を実施し、2016年度(ベースライン)は504名、2017年度(1年後)は432名、延べ536名の健常な高齢者を調査した。 2年間追跡できた400名のうち調査項目に欠損のある者を除いた65歳以上の高齢男女331名を対象に横断および縦断的解析を行った。フレイルの分類はJCHS基準を用い、5項目のうち3項目以上該当した者をフレイル、1~2項目該当した者をプレフレイルとした。 ベースラインのフレイル有症者は7名(2.1%)、プレフレイル有症者は141名(42.6%)、非有症者は183名(55.3%)であった。プレフレイル有症者(141名、男性64名、女性77名)の特徴を性別で比較すると、各診断項目の該当率において身体活動の低下(男性54.7%、女性33.8%、P = 0.017)は男性で有意に高く、疲労感(男性23.4%、女性46.8%、P = 0.005)は女性で有意に高く、性差が見られた。 また、ベースラインでフレイルまたはプレフレイルの非有症者183名のうち、37名が1年間の追跡で新たにプレフレイルに分類された。該当理由としては体重減少が最も多く32.6%であり、順に身体活動低下25.6%、疲労感25.6%、握力低下9.3%、歩行速度低下7.0%であった。また、男性に対し女性の1年後にプレフレイルとなる年齢調整後のオッズ比は2.524(95%CI:1.153 - 5.972、P = 0.021)であり、性差が見られた。 このように、プレフレイルの特徴や、健常からプレフレイルへの移行には性差が見られることが明らかになった。
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