都市部住民コホート「神戸研究」の参加者を対象として、平成30年度は、検体測定など調査に関わるデータの取得を行うとともに、平成28-29年度に取得したデータの整理を行い、解析を進めた。 腎機能についての解析では、血圧値を含めた腎機能低下のリスク因子について検討した。平成28-29年度の登録者のうち、データのそろっている928名を解析対象とし、6年前のベースライン調査時と平成28-29年でのeGFRcr(クレアチニン値crを用いて算出した推算糸球体濾過値)の差ΔeGFRcrを算出し、四分位で4群に分けた。ΔeGFRcrが最も大きくなる群に該当することをアウトカムとし、ベースライン調査時における各変数(性別・年齢・Body Mass Index・現在喫煙の有無・収縮期血圧値・血清非HDL-コレステロール値・HbA1c・eGFRcr)について、アウトカムとの関連をロジスティック分析にて検討したところ、多変量解析の結果では、年齢・収縮期血圧値・eGFRcrが、腎機能低下と有意な正の関連を認め、非HDL-コレステロールが有意な負の関連を認めた。また、ベースライン調査時に慢性腎臓病(CKD)を有さない対象者について、6年後にあたる平成28-29年度の登録者をCKDの有無により2群に分け、CKD発症をアウトカムとしてベースライン時の各変数とアウトカムとの関連を多変量ロジスティック回帰分析で検討したところ、単変量解析では、男性、年齢、BMI、収縮期血圧値がCKD発症と有意な正の関連を認め、eGFRcrがCKD発症と有意な負の関連を認めた。多変量解析では、eGFRcrを調整しないモデルでは、年齢・収縮期血圧値がCKD発症と有意な正の関連を認めたが、eGFRcrを調整したモデルではこの正の関連は消失し、eGFRcrと非HDLコレステロール値が負の関連を認めた。
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