本研究の目的は,1)保育器内およびコット上で使用できる体圧分布計測シートの開発・作成により,早産・低出生体重児の新生児・乳児期における自発運動と睡眠リズムの発達を非侵襲的,簡易的,経時的に計測する手法および評価指標を開発すること,2)評価された自発運動および睡眠リズムの特性と児の長期的な発達の関連性を検討することである. 平成28・29年度は主に低圧面状センサシート(体圧分布計測シート)の開発・作成に取り組み,研究実施協力施設において,開発シートを用いた低出生体重児の運動データ計測に着手することができた.平成30年度においては,計12例分のデータ計測を実施し,計測データの解析に取り組んだ.特に低出生体重児の体圧時系列データとstate(覚醒状態)は密に関連していることが示唆され,この成果に関して,日本赤ちゃん学会第18回学術集会(2018年7月,東京)にて「低圧面状センサシートを用いた低出生体重児の活動計測の試み-極低出生体重児を対象とした体圧データとstateの検討-」と題した発表を行った.また,低出生体重児の発達特性との関連を検討する上で取り組んだ成果について,第32回中国ブロック理学療法士学会(2018年9月,鳥取)にて「極低出生体重児における1歳6ヵ月・3歳時の問診評価と6歳時発達の関連」と題した発表を行い,その後同内容に関する論文が「理学療法学(46巻2号)」に掲載された.さらに,新生児・乳児の自発運動特性を検討する上で取り組んだ成果として,論文「Evaluation of fidgety movements of infants based on Gestalt perception reflects differences in limb movement trajectory curvature」が「Physical Therapy」にアクセプトされた.
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