新生児領域、循環器領域におけるアドバンス・ケア・プランニングの現状について調査研究を行った。 (1)新生児領域:日本周産期・新生児医学会新生児指導医が在籍する施設を対象に調査研究を行った。298施設中217施設から回答を得た(回収率74%)。回答した新生児科医の平均年齢は43.8 歳で地域周産期母子センター勤務が 49%と最も多かった。また、主治医として看取った患者の数は10-29人が一番多く43%であった。その結果国内のNICU施設のうち、21%が時に積極的治療の中止を行うと回答し、82%のNICUが時に積極的治療の差し控えを行うと回答した。施設内の治療方針は医師の価値観に大きな影響を与える可能性があり、それが終末期の議論に影響を与える可能性があることが明らかとなったが、アドバンス・ケア・プランニングの実践には影響を与えないとの結果が得られた。
(2)循環器領域:日本小児循環器学会専門医を対象に思春期小児患者のアドバンス・ケア・プランニングの現状と課題に関する質問紙調査を実施した。送付先のわかった473人中218人から回答が得られ(回収率46%)、そのうち意思決定能力のある思春期患者の診療に当たった経験のある150人を解析の対象とした。回答者の平均年齢は50.7 歳で勤務先は大学病院が35%であった。また看取り経験は 30 人以上が最も多く37%であった。予後3か月未満が想定される状況下で思春期患者本人とアドバンス・ケア・プランニングを行っている小児循環器科医は半数に満たない結果であり、話し合いは本人よりも家族とより行われていた。これらの結果は、小児血液・がん診療医、小児神経科医に行った調査結果と同じであった。
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