研究実績の概要 |
さまざまな脳機能イメージングの先行研究によって,抑制機能において重要な役割を持つことが明らかにされてきた。本研究課題は,そのような抑制機能と前頭前皮質の関係について,①前頭前皮質とほかの領域との関係,②子どもの発達に伴う脳活動の変化を検討することを目的としたものであった。本目的を達成するため,前頭前皮質の使用度合の異なることが予想される複数の実験課題を開発し,それにより機能的MRIを用いてアプローチしようというものであった。 本年度は国内の学会等に参加し,研究動向及び関連研究の調査を行うとともに,関連研究の文献調査を行った。 また、行動実験、MRI実験の課題開発を行うとともに、複数回の予備実験を実施し、課題の改良を行った。これらの課題を用いて、成人を対象とした行動実験、fMRI実験を実施した。また、小学生、中学生を対象とした行動実験、fMRI実験についても実施した。成人実験および未成年を対象とした実験については、被験者を集めやすい2,3月の春休みを利用した大規模なデータ取得を予定していたものの、コロナウィルスによる社会状況の変化により学校を経由した被験者募集ができなくなり、またMRI撮像実施機関である医療機関への立ち入りが制限されるなどしたため、計画通りに進めることができなかった。急遽、行動実験をメインとした研究計画へと予定を変更したものの、十分なデータを得るには至らなかった。 MRIおよび行動実験の行動成績より、大人と子どもにおいていくつかの違いが明らかになった。また、成人において課題の種類によって異なる行動成績を示すことが明らかになった。 MRIデータについては人数が少なくグループレベルの結果は出せないものの、個人レベルでの抑制関連活動と課題依存的な活動の検討を行った。 行動実験の結果とMRI実験の結果より、課題の有用性が明らかになるとともに、子どもと大人の違いが明らかになった。
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