本研究は、コミュニケーションや行動変容の計測が可能なビジネス顕微鏡とビーコンを用いて、幼児の個や集団の特性を可視化・定量化し、幼稚園や保育園におけるリスクマネジメントの評価方法を検討することを目的とした。今年度の測定は、昨年までと同様の測定方法で、愛知県の公立保育園3園を対象に秋期(11月)に3歳児、4歳児、5歳児のそれぞれ2クラスと担任教員を対象とした。コミュニケーション、集団形成、身体リズムに関する情報ならびに、園庭の固定遊具に配置したビーコンから得られた園児・教員の位置情報、行動軌跡情報などのビッグデータを集積することができた。 研究期間を通して、公立保育園(3園)、公立幼稚園(1園)、私立幼稚園(2園)を対象に測定を実施することができ、いずれの測定においても幼児の行動を規制することなく、個や集団の実態について客観的かつリアルタイムに情報を得ることができ、集団の幼児の行動特徴を継続的に把握することができた。このことから、保育者の主観的な判断だけでなく、園児の行動特徴から固定遊具の配置デザインや園舎構成の安全配慮対策を考慮することができ、幼児の怪我の減少に貢献できるものと考える。
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