研究課題
若手研究(B)
本研究では言語発達の個人差を生む要因が、聴覚情報処理以外にも存在しているのではないかと仮定し、8ヵ月児の音韻弁別能力と10ヶ月児のストレス耐性との関係を月齢縦断的に検討した。その結果、日本語長短母音の弁別能力には大きな個人差があることが明らかとなった。一方、10ヶ月児では母子分離場面において、泣く行動を示した児に有意な心拍数の上昇とコルチゾール成分の変動が見られた。両者の関係性については、母子分離によるストレス反応のうち行動の表出が乳幼児の言語理解と関連が認められた。
乳幼児心理学
これまで乳児の音声知覚研究では主に月齢横断的に検討され、「○○ヵ月に○○の弁別ができる(できなくなる)」ことを明らかにすることを目的とした研究が多かった。本研究では、発達早期の音韻弁別能力における個人差を従属変数として、月齢縦断的に説明変数となる要因を検討することを目的とした。この音韻弁別能力の個人差自体の検討に焦点を当てた研究は国内外を通し見当たらないため、言語獲得メカニズムの解明に新たな知見をもたらすことが期待される。