研究課題/領域番号 |
16K16631
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
加藤 承彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 社会医学研究部, 室長 (10711369)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 子育て支援 / 疫学 / ペアレンティング / 生活習慣 / 乳幼児期 / 育児不安 / 育てにくさ |
研究実績の概要 |
本研究は、首都圏在住で未就学児の子どもを持つ親を対象とした子育て支援教室の構築および実施し、親の不安や育てにくさの解消を介して子どもの健全な成長を促進することを目的としている。2017年度は、4年計画の2年目にあたり、子育て支援プログラムの構築に向けた各種の公的な統計の分析、先行研究の精査、既存の子育て支援プログラムの理解・分析などを主な活動内容とした。 公的な統計の分析に関しては、父親の家事・育児参加が第二子・第三子の出生に与える影響や子どもの就学前の睡眠習慣と学童期のメディア機器使用(携帯電話でのメール、テレビ・テレビゲーム)との関係などについて研究を実施した。父親の家事・育児参加に関する研究の成果は、Asian Population Studiesに受理され掲載待ちである。就学前の睡眠習慣と学童期のメディア機器使用に関する研究成果は、Acta Paediatrica誌に掲載された。既存の子育て支援プログラムの理解については、Nobody's Perfect(完璧な親はいない)というカナダ発祥の子育て支援プログラムの講習に参加し、子育て支援プログラムの実施方法について理解を深めた。次年度は、Triple P(前向き子育てプログラム)というオーストラリア発祥の子育て支援プログラムの講習に参加し、その手法を学ぶ予定である。 今後、引き続き文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」や厚生労働省の「国民生活基礎調査」などの公的な統計の分析、未就学児を養育している母親への聞き取り調査の実施、子育て支援プログラムの講習の受講などを通して、どんな支援をすることが最も有効なのかに関する理解を更に深めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究の成果として、いくつかの知見を論文に掲載することが出来た。例えば、子どもの就学前の就眠時刻がのちのちのテレビやゲーム機器などのメディア機器使用の多用と関連していることを明らかにした。また、国立社会保障・人口問題研究所の福田室長などと共同で、父親の育児・家事参加が第二子・第三子の出生を促すかどうかを分析し、積極的な育児参加が次子の出生に正の影響を及ぼすことを明らかにした。また、カナダ発祥の子育て支援プログラムであるNobody's Perfectの講習を受講し、子育て支援プログラム構築に向けた示唆を得た。しかし、予定していた乳幼児を養育している母親へのインタビューは準備に想定外の時間を要したため、次年度のはじめに実施する。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では、次年度は子育て支援プログラムの実施であるが、どのような子育て支援が必要であるかに関して、さらなる検討が必要であるために、引き続きプログラム構築に向けた分析および調査を実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年実施予定であった聞き取り調査が来年度にずれ込んだことに伴い、謝金等の支払いも来年度発生することになったため。また論文掲載料を計上していたが、掲載料不要の学術雑誌に受理されたため、余剰分は研究補助の人件費に使用する予定である。
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