研究課題
脳血流と脳機能計測を同一デバイス上で実現する生体埋め込みCMOSイメージングデバイスの開発を行った。本デバイスには、光学イメージングのためにCMOSイメージセンサを搭載し、コンタクトイメージング法により、脳表における血管および脳機能情報を取得する。研究成果として、埋植型デバイスを試作し脳機能計測実験を行ったことを報告する。2色のLED光源(緑色光LEDと赤色光LED)を搭載した生体埋め込みCMOSイメージングデバイスを試作し、麻酔下にあるマウスを用いて同一デバイス上で脳血流と脳活動の2種類の計測を行った。試作では、2色LEDの光源を搭載したイメージングデバイスの作製を行った。さらに、搭載LED(赤と緑)の交互点灯制御と検出された脳血流と脳活動の情報を自動的に分別する制御システムの開発を行うために、マイコンを使用した小型制御システムとMATLABによる解析システムの作製を行った。実験では、2色のLED光源を交互に点滅させることにより、一台のデバイスでマウス脳表において、脳刺激前後の血流測定および脳機能測定を行った。緑色光LED(波長525 nm)を用いることで血流計測、赤色光LED(波長605 nm)を用いることで脳機能計測を行った。動物実験でも、局所脳虚血モデル動物を作製するための手法として、Photo thrombosis法を習得し、光ファイバー光源を用いて局所脳虚血を引き起こすことに成功した。本研究に含まれる動物実験については、研究計画を奈良先端科学技術大学院大学動物実験委員会に提出し、承認を得ている。本学の動物実験の適正な実施に資するための基本指針に従っている。
2: おおむね順調に進展している
脳血流と脳機能計測を同一デバイス上で実現する生体埋め込みCMOSイメージングデバイスの開発が順調に進んでおり、制御プログラムおよび解析プログラムの作製も順調である。さらに、マウスを使った脳機能計測実験を行い、Photo thrombosis法による局所脳虚血モデルの作製にも成功している。研究計画を予定通り遂行しており、研究成果は論文および学会発表として発表している。
次年度はPhoto thrombosis法により虚血した脳部位周辺の血流と脳活動の関係を観察する。具体的には、(1)麻酔下のモデルマウスで行い、虚血前後の大脳皮質感覚野における感覚刺激応答を計測する。虚血による脳機能障害の状態を計測するため、1次体性感覚野の後肢領域に生体埋め込みCMOSイメージングデバイスを設置し、2色光源による多機能イメージングを行う。(2)局所脳虚血モデルマウスにデバイスを埋め込んだ状態で、行動実験中の脳機能と血流の関係を観察する。その後、血栓溶解治療による脳機能回復と行動回復の過程を観察する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 56 ページ: 057001-1-7
10.7567/JJAP.56.057001