研究課題/領域番号 |
16K16658
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鴨志田 聡子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (10773848)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ユダヤ / ラディノ語 / イスラエル / スペイン / 移民コミュニティ / アイデンティティ / 集合的記憶 / 言語共同体 |
研究実績の概要 |
1)イスラエルにおいてラディノ語の研究者たちに会い、調査への協力をお願いすることができた。さらに彼らの紹介でイエメン出身のユダヤ人と、イラク出身のユダヤ人にインタビューができた(2018.7, 2018.8)。 2)出身地が異なるユダヤ人へのインタビューのデータを入手した。イスラエルに行って自分の研究についていろいろな人に説明することを続けたことにより、このデータをもっている人の協力を得ることができた。自分で多くのインタビューをする必要がなくなった。 3)スペイン出身ユダヤ人の文化について、セルバンテスインスティテュート東京で行われた国際会議(2018.10)で発表し、会議やセルバンテスインスティテュートの活動を参与観察した。日本においては現代のユダヤ人についての研究が乏しいのだが、なかでも重要性が認識されていたスペイン出身ユダヤ人の言語やその現状についてはほとんど知られていなかった。セルバンテスインスティテュートの会議で申請者はスペインを含むイスラーム地域出身ユダヤ人の現状をスペイン地域の研究者に報告することができた。スペインの研究者にユダヤの言語としてのスペイン語の変種という新しい視点を提供することができ、申請者にとってもスペイン語やスペインの文化の研究者たちと学術交流するきっかけにもなった。今後共同研究につながればと期待している。 4)カリフォルニア大学ロサンゼルス校で行われた国際会議ucLADINO(2019.2)において自らの研究の経過を報告しつつ、日本人がユダヤの言語を学習、研究することの重要性を説明した。これをきっかけに申請者は米国西海岸のラディノ語研究者たちや話者たちと交流でき、貴重な情報を得た。 5)米国西海岸を短期間2回訪問(2019.2, 2019.3)し、申請者の研究対象となる人々に出会うことができ、主要な研究者たちと学術交流ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまで地域情勢や予算や家庭の事情などからフィールドワークが思うようにできず、それによって研究の進捗が当初の計画よりもやや遅れているように感じられた。同じところへ長期滞在できず、そのかわりに短期間に2度渡航する必要があるのも家庭の事情からである。しかし一方で申請者の研究スタイルも話題を呼び、これまでの調査について国内外で発表したこともあって、期待以上のデータや協力を得ることができ、学術交流も非常に進んだ。今年度は研究が大きく進展したと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はこの研究の最終年度であるので、申請者がこれまで得たデータを分析し、研究の経過と成果について発表し、報告書をまとめる。 国内で本研究の重要性を説明し理解されるように努め、共同研究者を探し、次年度に複数の研究者と科研費に応募することを目指す。イスラーム地域のユダヤ人についてはまだ知られていないことが多いが、世界的に見れば研究にかなりの重要性が認識されている。イスラエルや米国のユダヤ人をはじめとした現代ユダヤ人の社会を知るためにも非常に重要である。 今後本テーマについてより多くのデータを分析し、言語に限らず、歴史、思想、宗教、文学などの視点から研究を進めることで大きな発展が見込める分野である。本研究を発展させて、海外の研究者も交えて日本から発信するような共同研究に結びつけたい。そのためにも今年度は本研究を無事に着地させつつ、多くの研究分野に対して国内外で発信していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していいた額の翻訳費、校閲費、印刷代などを本科研費から支出せずに研究を進められたため。これらは最終年度に行う成果報告の準備のために使用する。
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