本研究の目的は、エチオピアの人びととともに、足を護り・彩る「地下足袋」を文化として協創(協働で創造)する実践の特質を、当事者意識をもつ研究者が参与する過程を通じて明らかにすることである。2018年度はエチオピアのオロミヤ州ウォリソの文脈に沿った地下足袋の販売と宣伝の特質について、実践的なフィールドワークを通じて明らかにすることを目指した。 3年目にあたる2018年度は、これまで2016年度プロトタイプ1号(黄色の帆布タイプ)、2017年度の2号・3号(革)の地下足袋(エチオタビと命名した)制作の実績のあるウォリソの起業家カッバラ氏に200足の制作を依頼し、16デザイン以上、200足の地下足袋を10月15日に完成することができた。 この200足をもってカッバラ氏とともに、販売と宣伝に関する現地調査を、10月4日から10月27日の間に行った。販売に向けた宣伝用具として、現地の文脈に沿った宣伝方法として、木製の看板を現地制作し、ディスプレイなどについて検討した。あわせて、看板や地下足袋SNSを用いて周知活動をおこなった。その結果10月14日の現地の披露・販売会には多くの人が集まり高い評価を得た。しかし販売数は1足、注文数は3足という低調な結果であった。10月22日には、調査村での宣伝に関する実践的な調査をおこなった。180足の地下足袋を並べ、祝福の儀礼をうけるとともに、地元テレビ局の取材を受けた。地下足袋の協創的実践研究開始へのストーリーをはじめ、機能性、現在の課題、今後の展開についての展望を地元住民と共有することができた。また、これまでの調査に協力的であった55名の農民に履き心地や機能性などを評価してもらうために試用品を宣伝の調査も兼ねて提供すことができた。この調査を通じて、今後の地下足袋協創に関する具体的なデータを収集するための準備をすることができた。
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