研究課題/領域番号 |
16K16663
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 友美 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (00637077)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ヒマラヤ高地 / 生活習慣病 / 食 / チベット難民 / 遊牧民 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、ヒマラヤ高地のインド・ラダーク地方においての健康・栄養調査を行い、生態環境や近代化がどのように高齢者の「食」に関連し、健康状態としてあらわれているのかをフォローし、都市と農村部で比較考察するためのデータ収集を実施した。農村部のドムカル村での調査では、生活習慣病のフォローアップ健診を42名に実施し、食の背景に関する聞き取りと合わせて分析を進めている。農村部においても、伝統的な大麦食(ツァンパ)から米食への変化が見られ、特に調査世帯(糖尿病を有していた高齢者の家庭)においては、米食の頻度のほうが大麦食の頻度よりも高いという事例も見られた。一方で、祭事などで欠かせない大麦酒の加工についてはその生産量は減っていないということも聞き取り調査から明らかになった。 また、都市部レーでの調査では、特にレーのチベット難民居住区・チョグラムサルにおいて生活の変化に注目した聞き取り調査を行った。特に、高原地域に暮らしていた遊牧人(チベット難民)で、チョグラムサルに移住してきた人びとの生活習慣病をめぐって、生活や食の変化に注目したインタビューを行い、都市での難民高齢者の役割についても考察し、原著論文として発表した(文献)。
文献 木村友美、坂本龍太、石川元直、諏訪邦明、Tsering Norboo、奥宮清人. 都市に定住したチベット遊牧民の食と生活習慣病-インド・ラダーク地方の難民居住区での調査から. ヒマラヤ学誌. 2017;18:92-101.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒマラヤ高地のインド・ラダーク地方において、都市部と農村部について予定通りの調査を実施し、都市部の調査結果からは1本の論文として成果を発表している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、ヒマラヤ高地のインド・ラダーク地方においての、都市部と農村部の調査を実施した。今後は高原部への調査と、これらの地域間比較により、「食の変化」に注目した考察をしていきたい。
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