本研究は、社会運動のインパクトについて、人びとの意識や暮らしというミクロなレベルから長期的スパンに立ち明らかにすることを目指したものである。そうした社会運動研究としての意義に加え、本研究ではガーンディー主義者たちの取り組みを追うことにより、インドの地域社会が現在直面する課題が浮き彫りになった。それは、丘陵部(農村部)と平坦部(都市部)の格差の拡大、「異常」気象と災害の頻発、農業担い手の減少など、日本の地方が直面する課題とも通底するものであった。僻地での教育や農業へのガーンディー主義者の長年の取り組みから学ぶべきことも多い。
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