研究課題/領域番号 |
16K16665
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研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
橘 誠 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (30647938)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | モンゴル / 翻訳 / ナショナル・ヒストリー / モンゴル年代記 / 国史編纂 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、20世紀初頭に清朝、そして中国からの独立を目指していたモンゴルにおける翻訳事業に注目し、中でも歴史編纂の過程において漢語、満洲語からの翻訳文献が果たした役割を明らかにすることにある。 研究期間の一年目にあたる今年度は、研究のもとになる史料収集を中心に行った。8月にはモンゴル国の歴史中央公文書館において史料調査を実施し、1921年のモンゴル革命後、歴史文献の収集、翻訳を積極的に行っていた典籍委員会に関連する史料を閲覧し、必要なものはコピーを取った。また、モンゴル国立図書館においても満洲語に翻訳された『資治通鑑綱目』などからモンゴル語へ翻訳された文献を確認した。 かねてから注目していたCh.バトオチルが執筆したМонгол улсын эртнээс уламжлан ирсний товчлон тэмдэглэсэн бичиг(『モンゴル国の古来伝承を略記した書』)をモンゴル文字からキリル文字に転写し、注と解題を付して出版するため、5月にモンゴル国ウランバートルを訪れ出版社と契約し、8月に無事にこれを出版することができた。 3月にはカナダのトロントで開催された国際会議Association for Asian Studiesに参加し、8月に出版した文献の分析を踏まえて、モンゴルの歴史編纂がこれまでのモンゴル年代記とは異なるナショナル・ヒストリーに変容していく過程、その特徴などを英語にて報告した。この報告内容は、次年度に論文として英語で然るべき学術雑誌に掲載する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定通りモンゴル国における史料調査を実施することができた。また、当初の計画よりも早く、Ch.バトオチルの『モンゴル国の古来伝承を略記した書』をモンゴル国において出版することができたため、これに基づいた研究報告も国際会議において行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画よりも順調に研究は進んでいるが、引き続き計画に基づきモンゴル国の歴史公文書館、モンゴル人民革命党文書館、国立図書館などにおいて史料収集を継続する予定である。収集した史料はできる限り年度内に整理・分析し、いずれかの学会において研究成果を報告する予定である。
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