平成30年度は、交付期間中の研究をまとめて、その総論を国際学会で報告し、その成果を論文にまとめた。本研究の目的は、ラオス中部で実施されているコミュニティ・ベースド・エコツーリズムが地域コミュニティの厚生を引き上げるものであるかを評価することである。このことを明らかにするために、研究代表者は、平成29年度、平成30年度に現地でのインタビュー調査、アンケート調査を行った。残念ながら、当初、想定していたロジット・プロビット分析は、実施できず、各メンバーの選択を規定する要因を明らかにすることができなかった。これは、本研究の残された課題である。その一方で、地域コミュニティにおいて、どれくらいのメンバーが観光業に参加し、どれほどの収益を得たのか、あるいは、どのように収益をシェアしているのかを定量的に評価することができた。先行研究では、地域コミュニティがプロジェクトに参加していることの重要性を説いてきた一方で、その内部でのベネフィット・シェアリングの状況までは十分に明らかにしてこなかった。この点で、本研究は、一定程度の成果を上げることができた。 研究代表者は、この成果を、日本計画行政学会第41回全国大会のワーキングショップで報告(日本語)し、さらに、カナダのトロントで開催された、XIX ISA World Congress of Sociologyに参加し、英語での報告を行った。学会で得られた成果は、中央大学経済学研究所のディスカッションペーパーに投稿した。最終年度には、間に合わなかったが、今後、海外の学術雑誌に投稿する予定である。
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