研究課題/領域番号 |
16K16671
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
横山 美和 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 基幹研究院研究員 (70725267)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 避妊 / オギノ式 / ジェンダー / リズム法 / 産児制限 / 産児調節 / 科学史 / 医学史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、19世紀後半に現れた、月経周期に沿った生理的な変動、すなわち<女性のリズム>という考え方の受容と展開に関する歴史の日米比較を行うことにある。これまでの調査から、排卵の時期を特定した荻野久作の荻野学説と、それが応用された荻野式避妊法の日米における社会的影響を中心に研究を行っている。3年目である平成30年度は、1)平成29度に米国にて収集した史料の分析を主に行い、また、2)日本の専門家による受容についての考察を行った。
1)に関しては、平成29年度に米国において、1930年代に米国に荻野学説と避妊法が紹介された際の状況を示す史料を収集した。それらの史料をもとに、米国でリズム法として広まった同避妊法を産児制限運動家らはどのように見ていたのかについて、6月に開催された日本女性学会(於武蔵大学)にて口頭発表した。さらに、避妊法の情報伝達を規制していた法律が産児制限運動に与えた具体的な影響と、それに対する産児制限運動家らの戦略について、9月に開催された国際ジェンダー学会(於聖心女子大学)にて口頭発表した。11月にはシアトルで開催されたHistory of Science Society 2018で、産児制限運動家らのリズム法に対するスタンスの差異等について口頭発表した。 2)に関しては、平成29年度に行った日本の専門家による荻野学説の受容についての口頭発表をまとめ、日本科学史学会生物学史分科会『生物学史研究』に報告の形で依頼原稿を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は平成30年度も史料の収集のための渡米を予定していたものの、平成29年度中に予定より1回多く行くことができたため、計画を変更して史料の分析をすすめることとした。平成29年度に、月経周期の知識が米国社会にもたらした影響について示す史料を収集することができたおかげで、平成30年度はその分析により多くの知見を得ることができ、日本女性学会、国際ジェンダー学会、History of Science Society の口頭発表につなげることができたため、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、文献調査及び史料調査を中心として、月経周期に沿った生理的な変動、すなわち<女性のリズム>という考え方の受容と展開に関する歴史の日米比較を行うことを目的としている。 令和元年度は、月経周期に関する荻野学説や荻野式避妊法に関して主に日本の史料の収集を行い、これまで収集した史料と合わせて分析し論文にすることを目指す。なお、日本と韓国での学会発表が受理されている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は、平成29年度に引き続き米国での史料調査を予定していた。しかし、平成29年度中に予定より多く史料調査を行うことができたため、計画を変更して、収集できた史料をもとに分析を進め、国際学会での発表のための旅費と英文校正代に予算を使用することとした。しかし、当初の予算よりは使用額が少なかったため、次年度使用額が生じたものである。令和元年度には韓国での国際学会の発表を予定しているため(採択済み)、そのための旅費あるいは英文校正代に使用したい。
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