研究課題/領域番号 |
16K16675
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
永村 景子 日本大学, 生産工学部, 助教 (50713260)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | まちづくり / 交流人口 / 活動人口 / アクションリサーチ / コミュニティデザイン |
研究実績の概要 |
本研究は大規模災害により被災した過疎地域を対象として、交流人口増加に向けた復興まちづくりマネジメントのベースモデルを提案することを最終目標としている。当該申請期間は、ベースモデル大枠の提案(復興まちづくりマネジメントの要素を整理)を目的としている。大規模災害発生時は災害復旧優先となり、喫緊の地域課題である過疎への対応は一時的に停滞せざるを得ない。厳しい条件下のまちづくりマネジメントが本研究の特徴である。研究対象は、平成18年7月に鹿児島県川内川流域を襲った大雨災害(写真-1)にて被災した、鹿児島県伊佐市曽木の滝周辺地域である。地域内の交流人材である「活動人口」の発生・増加に着目し、復興まちづくりの担い手へ直接、働きかけ(介入)を行い、その成果を検証するアクションリサーチにより取り組む。 当該年度は、交流人口増加に向けた復興まちづくりマネジメントのベースモデル大枠の提案に向け、「活動人口」の発生・増加のPDCAサイクル検討および、データ収集を行った。昨年度の成果・反省をふまえ、アクションリサーチにおける動き出しがスムーズであったことから、より計画的・戦略的なプログラム構築および、アンケートデータ収集等を行うことが出来た。また当該地域での「活動人口」の拡がり・定着の萌芽も確認でき、数年来の研究成果として、アクションリサーチの研究成果が見て取れたことも、当該年度の特徴といえる。また今年度は、これまでのデータ蓄積や、今年度のデータ収集による研究成果の公表を積極的に行った。結果として、ベースモデル構築に向けた学内外での議論を深めることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は関係者の人事異動等はなく、研究活動の取りかかりがスムーズであったことから、昨年度の研究の遅れを取り戻し、おおむね順調に進展している状況である。 当初の計画では積極的な「介入」は行わず、平成28年度までの波及効果に関する「成果の検証」および評価およびベースモデルの枠組み検討を行うこととしていたが、研究の進行に伴い、継続して「介入」を行いながら、検証に必要となるデータの取得を行っている。年度当初より、計画的な「介入」を行うことにより、必要なデータを、適切なタイミングで得ることが出来、また憲章の成果をイベントへとフィードバックできることから、より「介入」の効果を高めることが可能となっている。 土木学会の土木計画学研究発表会等において、成果の公表を行うとともに、他の研究者との研究討議を行い、ベースモデルの枠組み構築に向けた評価や、ベースモデルの枠組み案に関するディスカッションも順調に進めている状況である。 上記のとおり、研究対象地での「介入」および「データの取得」が進み、また成果の検証やベースモデルの枠組み検討の段階へと進展しており、おおむね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は継続して「介入」を行いながら、研究の力点を「成果の検証」へと移行させる予定である。イベントが1日限りであり、天候に大きく左右されることから、当初は想定したデータが取得できないなどの問題が生じていた。2年目である本年度は、天候が悪かったものの、前年度の成果の検証結果を受けて軌道修正を行うことが出来た。 最終年度に向けて、「成果の検証」については、次のような大きく2つの視点によるデータ取得および評価を行うこととする。 第1に、直接的な効果の検証を行うため、①イベント参加者 (受動的な対象)および②イベント運営スタッフ (能動的な対象)」について、参加者数、運営スタッフ数、アンケート結果などで評価する (a.客観的なデータ)。このうち、①については天候の影響で十分なデータの取得が出来ていないため、取得すべきデータの代替案も検討する。 第2に、間接的な効果として、イベント運営を通じて、あるいはイベント終了後に波及効果として表れることが想定されるため、この視点に基づくデータの取得を行う。主として「イベント運営スタッフ (能動的な対象)」の変化を捉える。この変化は数値的に得られるものではない。能動的な対象による省察や(b.研究協力者による省察)、イベント前後の活動の変化・気運の変化などをヒアリング調査、活動頻度・活動人口などの経過観察を行う(c.追跡調査)。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査計画の見直しにより、今年度の調査人員配置を見直し、次年度の調査旅費を確保する観点から、次年度使用額が生じた。次年度の調査人員・回数の見直しに伴い、当該資金を充てる予定である。
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