研究課題/領域番号 |
16K16676
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研究機関 | 多摩大学 |
研究代表者 |
田中 孝枝 多摩大学, グローバルスタディーズ学部, 専任講師 (50751319)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中国人観光客 / インバウンド / 華僑華人 / ネットワーク / 旅行会社 / 異文化経営 |
研究実績の概要 |
初年度に明らかになった課題をもとに調査を進めた。 ①日本における中華系旅行会社の展開に関する調査:日本で外国人観光客のインバウンド業務に従事した経験の長い人々・企業へのインタビュー調査、および社史の収集・分析を進めた。調査を進める中で、日中観光ビジネスの展開を捉えるためには、中国から日本への動きだけでなく、日本から中国へという観光客の動態とそれに関わるビジネスの展開を包括的に考察する必要があることが明らかになった。そこで、中国専門旅行社を中心に日本人による訪中観光創成期の状況を把握するための資料収集を行った。 ②2018年5月にカナダ・オタワで開催された国際学会・International Union of Anthropological and Ethnological Sciencesの年次大会に参加した。これまでの調査をもとに、日中観光ビジネスにおいて生じている異文化経営をめぐる諸課題について口頭発表を行うとともに、各国から参加した専門家と交流し、意見交換を行った。 ③2018年5月に中国・広州で開催された国際学会・International Academy for the Study of Tourismにゲストとして参加し、各国から参加した専門家と交流し、意見交換を行った。特に、中国人研究者が多く参加しており、今後の研究発展のために重要と思われる中国人の観光研究者たちと知り合うことができた。 ④日本における中華系旅行会社の実態把握:スノーボールサンプリングにより、東京にある数社への聞き取り調査を実施した。そこから、訪日中国人観光客が急増する中で、日系旅行社と中華系旅行社の境界は曖昧になっていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日中観光ビジネスの展開を考察するためには、中国から日本へという観光客の動きだけでなく、日本から中国への観光の展開を捉えることが重要であることが調査の過程で明らかになったため、それに関する資料収集を実施した。そのため、実施予定であった日本における中華系旅行会社の実態把握は計画より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査から明らかになった課題をもとに、継続的に調査研究を進める。 ①日本人による訪中観光の展開に関する調査:昨年度の調査を引き続き展開する。中国専門旅行社を中心に聞き取り調査および資料収集を行い、日中観光ビジネス創成期の動態を捉える。 ②日本における中華系旅行会社の展開過程に関する調査:継続的に資料収集を行うとともに、観光ビジネス従事者のネットワークという面で、①との関連性を検討する。 ③日本における中華系旅行会社の実態把握:訪日中国人観光客が急増する中で、中華系旅行会社をめぐる制度的・社会的環境は刻々と変化している。その動向を把握するため、日本旅行業協会をはじめとする関連機関に聞き取り調査を行う。また、中小規模の旅行会社ではスタッフの多くが外国出身者であったり、日本の旅行会社と中華系旅行会社が提携関係を結ぶなど、日系と中華系の境界は曖昧になっている。さらに、旅行業だけでなく多角的なビジネスを行う者も少なくない。そこで、日系であるか中華系であるかという制度的区分や、旅行会社であるか否かよりも、旅行関連ビジネス従事者の社会関係や関わりを重視してスノーボールサンプリングを行い、聞き取り調査を継続する。時間的制約を考慮して、東京および大阪を中心に調査を行う。
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