本研究の目的は、旅行ブログエントリなどのソーシャルメディアを利用することで、旅行者を呼び込みたい観光地と旅行者の観光支援を行うことである。具体的には、「課題1 旅行者の観光動機の自動抽出」、「課題2 紙媒体の観光情報誌(旅行ガイドブックやパンフレット)の情報拡張」の2つの課題に取り組み、それらを統合することによって上記の目的を達成する。本年度は、昨年度に引き続き、課題2の「①動画や画像を使用した情報拡張」、「②英語の観光情報誌の情報拡張」に取り組んだ。 昨年度の研究成果により、訪日外国人の居住国により、必要となる観光情報が異なることが明らかとなった。そのため、①では、画像を投稿したユーザの居住国を自動で推定する技術を開発した。画像を投稿したユーザの居住国を推定する技術を開発したことで、観光情報誌を閲覧しているユーザの居住国に合わせて、より適切な画像を利用して情報拡張をすることが可能となった。また、旅行ブログエントリを、ブログ著者が抱いた感情や、観光の形態に基づいて自動分類する手法を開発した。その結果、よりユーザの観光の目的に合った旅行ブログエントリを提示できるようになった。 ②では、旅行ブログエントリ内のテキストに対しWikificationを行うことで、ブログ著者の訪問地、体験したこと、食べた物などを判定した結果や、画像に付与された緯度経度の情報を利用することで、英語の観光情報誌の情報拡張がある程度可能となった。しかし、情報拡張した旅行ガイドブックの閲覧システムを構築し、ユーザベースの評価を行うまでには至ることができなかった。
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