研究実績の概要 |
本年度の計画としては,前年度までの研究内容,特に考古学と自然科学の関係についての考察を深化・発展させつつ,考古学「からの」人文学の哲学の基盤構築を目指すというものであった.具体的には考古学以外の人文学・社会科学(特に人類学・歴史学)との関係性を考察しつつ,これらの分野が考古学に対していかなる意味を持ちうるか,認識論的・方法論的に考察することである. まず,前年度までの研究内容を深化・発展させるという目的については,特に日本考古学の歴史に即して,考古学と自然科学の関係,あるいは考古学における理論の歴史的展開の二点について考察を行い,以下二つの論考を発表することができた. 中尾央.2018.考古学理論との対峙:プロセス考古学とポストプロセス考古学.阿子島香・溝口孝司(監修)『ムカシのミライ:プロセス考古学とポストプロセス考古学の対話』,pp. 1-20,勁草書房. Nakao, H. 2018. A quantitative history of Japanese archaeology and natural science. Japanese Journal of Archaeology, 6(1): 3-22. 前者の論考は日本考古学における理論の展開・役割・意義などを考察した書籍であり,こちらは編集作業にも関わった. 後者の課題については,考古学と人類学や(歴史)社会学など,その関連分野との関係を考察した.成果については学会などでの研究報告をいずれ行う予定である.
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