研究課題
本研究は、経営者や投資家が直面する投資に内在する倫理的問題を突き止め、その問題を解決するため、日本版倫理コード(Code of Ethics)を提案することを目的とする。平成29年度は、投資に内在する倫理的問題の理論的考察を目標とし、以下の研究を中心に行なった。1.日本経営倫理学会ESG投資研究部会に参加し、経営者と投資家との意見交換を行ない、「責任ある投資」の導入・実施において問題だと考えられているものを検討した。また、米国のSociety for Business Ethics大会に参加し、投資倫理について意見交換を行った。2.前年度に引き続き文献研究を行ない、先行研究から投資に内在する倫理的問題の特定を試みた。主な問題として検討したのは責任投資やESG投資の倫理的正当化が難しいという問題である。成果の一部は、日本経営倫理学会ESG投資研究部会と応用倫理学研究会で発表し、実務家や研究者と意見交換を行なった。発表内容は修正して、ルーマニアの国際学術誌Revue Roumaine de Philosophieに投稿中である。3.投資家が企業評価を行うさい、長時間労働など職場環境にも目を向けることがわかった。そこで過労死、過労自殺の問題に詳しい弁護士らと意見交換を行った。その成果として、応用哲学会ワークショップ「長時間労働を問いなおす -過労死、過労自殺の問題をビジネス倫理の視点から考える」をオーガナイズし、個別に発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
先行研究をサーベイし、投資に内在する倫理的問題の特定についてはかなり進んでいる。経営者と投資家に対するヒアリング調査も行っている。
来年度は研究計画案に沿って投資に内在する倫理的問題の解決案を検討し、その成果を発表したい。
(理由)本研究はおおむね順調に進んでいるが、ヒアリング調査の整理や分析、海外発表が実施されていない。(計画)当初の研究計画に従い、ヒアリング調査の整理や分析、海外発表を行う。
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CHUL HAK SA SANG - Journal of Philosophical Ideas
巻: CCPEA2016 Special Issue, ページ: 223- 244
http://dx.doi.org/ 10.15750/chss.65s.201708.010