研究課題/領域番号 |
16K16699
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
堀田 和義 大谷大学, 文学部, 非常勤講師 (90548687)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | シュラーヴァカ・アーチャーラ文献 / 断食死儀礼 / ジャイナ教在家信者 |
研究実績の概要 |
2年目は、ジャイナ教文献における断食死儀礼についての記述の解読作業を行った。まずは、断食死儀礼の実践が認められる条件について分析し、災難、飢饉、老齢、不治の病が中核的な条件であり、これら4つは必要に応じて減らされ、最少の場合にはそれらすべてを含む「死期が近付いた時」という表現になることを明らかにした。この分析のもとになった訳注研究は、詳細なクロスリファレンスを付して将来的に公開する予定である。また、ジャイナ教の綱要書Tattvarthadhigamasutraの注釈文献の記述に基づいて、断食死儀礼を行う者の心理に関する分析も行い、ジャイナ教徒から見た断食死と自死との相違を解明した。 上記の作業と並行して、5種類のシュラーヴァカ・アーチャーラ文献、および、その理論的基礎を考察するための3種類の哲学文献の電子テキストの入力を行った。この検索可能な電子テキストは、インターネット上での公開を予定している。 2年目の経過報告としては、2017年9月に花園大学で行われた日本印度学仏教学会において「地水火風は生きているか?―「ジャイナ教=アニミズム」説の再検討」という題目で、ジャイナ教徒の生命観を再考する報告を行った(発表内容は、2018年3月発行の『印度学仏教学研究』第66巻第2号に論文として投稿)。その他にも、2017年11月には、イギリスの雑誌International Journal of Jaina Studiesの第13巻第2号に"On Corresponding Sanskrit Words for the Prakrit Term Posaha: With Special Reference to Sravakacara Texts"と題する論文を投稿したほか、ジャイナ教在家信者の行動規範を考察するうえで比較が必要となる、ヒンドゥー教の格言詩と聖者伝の訳注も発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目に予定していたシュラーヴァカ・アーチャーラ文献における断食死儀礼の規定の解読、および分析という作業は、おおむね順調に進展していると言える。 また、シュラーヴァカ・アーチャーラ文献の検索可能な電子テキストの入力作業に関しても5つのテキストを入力することができただけでなく、複数の若手研究者の協力を得て、ジャイナ教の重要な哲学文献(3種類)の電子テキストも入力することができた。 写本調査に関しては、諸般の事情により実施できなかったが、成果報告に関しては、予定していた日本印度学仏教学会において発表することができた。その他にも、国際的な学術雑誌International Journal of Jaina Studiesへ論文を投稿したほか、ジャイナ教徒の見解を理解するうえで比較が必要となるインドの多数派宗教ヒンドゥー教の格言詩"Canakyanitidarpana"や聖者伝"Sankaradigvijaya"の訳注を発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は、初年度、および2年目の研究成果の見直しを中心とした作業を行う。その他にも、古典文献だけではなく、現代のインドの裁判所の見解の分析や、倫理学的な視点に基づく分析なども行うことで、断食死儀礼を多角的に考察する。 シュラーヴァカ・アーチャーラ文献の検索可能な電子テキストの入力は、2年目と同様、若手研究者の協力を得て継続する。そして、これまでに入力した電子テキストの校正作業も行い、インターネット上での公開に向けての準備作業を行う。 写本調査に関しては、初年度に予定していて訪れることができなかった、グジャラート州のL.D.Instituteを訪れるほか、ラージャスターン州ラードゥヌーンにあるジャイナ教の大学ジャイン・ヴィシュヴァ・バーラティー大学における調査も行うことを予定している。 成果報告の機会としては、断食死儀礼に関する論文、および、ヒンドゥー教の格言詩、聖者伝の訳注を、各種の研究報告や紀要へ投稿することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 2年目に予定していた写本調査を実施できなかったことにより、差額が生じた。 (使用計画) 3年目に実施する予定の写本調査によって使用する予定である。
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