欄外註を含む写本資料については、入手可能なものはほとんど入手できた。それらの写本の欄外註を調査した結果、多くの『主宰神の再認識詳注』断片が確認された。『主宰神の再認識詳注』断片を含む欄外註の伝承に関しては、17,8世紀のカシュミールや14世紀以降の南インドには、十分な情報が伝承されていないことが明らかになった。再構築された『主宰神の再認識詳注』を検討する限り、アビナヴァグプタは、一見した所、独自の解釈をしているとしても、ウトパラデーヴァの体系化した神学を十二分に意識し、偈の解釈に反映させていることがあらためて確認された。
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