研究課題/領域番号 |
16K16705
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
冬月 律 麗澤大学, 外国語学部, 講師 (70726950)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 過疎 / 神社神道 / 氏子調査 / 集落神社 / 高岡神社 / 高知県 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、基礎データの収集および関連研究の整理を行いつつ、次年度実施予定の氏子(地域住民を含む)を対象にした調査票調査の予備調査(パイロット調査)を実施した。また、地域神社の多様な様相を包括的な概念でモデル(パターン化)構築を図るために、現地調査やインタビューなどを実施し、それをもとにして試案を作成した。 具体的な実施状況については、まず郷土史などの文献収集および整理については、現地入りした時には必ず、高知県立図書館、四万十町役場、四万十町立図書館および民俗資料館のいずれかに立ち寄り、行政資料、郷土史、町史(誌)、民俗資料のうち、研究に関連する資料を収集し、PDF化して、他のデータと一緒に科研費専用に用意したハードディスクに保存した。 次に、地域神社のパターン化構築については、旧窪川町に鎮座する103の神社(宗教法人)を把握するため、地域の神職の協力を得て、神社所在地の確認と現地視察(写真撮影)を行った。その際、代表者がすでに実施した神社実態調査で得られた基本情報をもとにしながら、データ更新も行った。また、地域の各神社の総代・氏子を対象に、神社の機能の変化過程や氏子意識を探るために実施したインタビュー調査では、地域の変容と高齢化する神社関係者による神社の維持・継承問題などを中心に聞き取りを行い、現在その音声はデータ化を進めている。 次に、次年度に実施予定である氏子調査については、現地調査の際に、地域の神職や神社関係者との打ち合わせ、氏子への挨拶回りを行った。11月には高岡神社の秋祭り(例祭)に集まった氏子総代34名を対象に試作の調査票を用いて予備調査を実施し、回収した調査票は速やかに集計した。また、現地の調査協力者との間で連絡を取りながら調査票の修正を行った。 以上のとおり、全般的に当初計画通りの研究を進捗させ、所期の成果を果たすことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請段階の計画では、初年度にあたる2016年度に実施した現地調査や文献資料等の調査、および調査票調査の予備調査の蓄積を土台として、おおむね順調に進展した。また、インタビュー調査や各集落神社の現地視察に関しては、神職や神社関係者からの情報を収集するほか、その地域の住民のみならず、他の地域住民との情報交換にも注力した。ただ、103の神社を対象にしていることから、研究代表者が一人で一度に視察できる数が限られており、未実施の神社については次年度以降に持ち越すことになった。この点については2017年度に継続して実施する予定である。なお、部分的ではあるが、得られた結果は速やかにデータ化し、多方面の研究者・関係者からの意見を取り入れるために、研究成果を関連学会で報告することも実施できた。 以上のとおり、2016年度については、次年度の2017年度に向けた作業を十分に展開することができたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に引き続き、文献資料を収集・整理しつつ、旧窪川町内の集落と神社の特徴を把握するための現地調査を実施する。とくに、地域の神職や氏子総代の協力を得ながら神社所在地の確認と現地視察を実施し、合わせて氏子を対象にしたインタビュー調査も実施する。具体的な調査事例としては、町の中心部から比較的に離れている中山間地域の小規模集落(限界集落を含む)と神社を対象に、現状を含め地域の変容と高齢化する神社関係者による神社の維持・継承の問題などを視野に入れて調査研究する。 次に、昨年度に実施した予備調査の結果について4月に結果報告会を開催する。また、調査票の最終確認とともに、調査対象者(調査票配布人数)を確定し、地域の神職および神社関係者への調査協力依頼の送付および調査実施の説明会を開催し、本調査を実施する。具体的実施方法については、調査票調査は原則、7月~8月にかけての夏祭りの時期に各集落神社の氏子4~5名を対象に調査代表者および地域の神職・神社関係者の主催のもとに神社境内地で実施(集団調査)するが、神社によっては夏祭りがないところや農作業の兼ね合いで実施が難しいこともあり、その場合は9月~10月の秋祭りの時期と、2回に分けて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度の研究実施計画で予定していた現地調査の旅費について、調査対象者の都合によってやむを得ずキャンセルし、その分の旅費は使用しなかった。また、人件費・謝金については、2016年度に実施した現地調査やインタビューによって得られた音声データが数十時間分と膨大な量にのぼり、資料整理と筆耕作業に伴う協力者への負担を考慮し、音声データについては2017年度にまとめて行うことにし、人件費は発生しなかった。さらに、その他については、次年度の調査票の印刷・回収のための経費を見越して、2016年度はほとんど使用しなかった。 これらの理由により、計画を変更したため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度に見込んでいた人件費・謝金およびその他については、2017年度に実施予定の調査票調査(アンケート調査)の本調査に向けて、調査票の印刷・郵送および集計の経費として使用する予定である。また、本調査の対象者が400人を超えると予想されることから、調査協力者への謝金の支出を物品費(ボールペン)に変更する必要があり、そのための物品費支出が増える見込みである。
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