平成30年度は、前年度に実施した調査票調査の本調査の結果をもとに構築した過疎地域神社のモデル(パターン化)の検証および本課題研究で得られた知見(地域と神社の基礎データ、調査対象神社の概要)の整理を行った。また、3年間の研究成果を報告書としてまとめた。 具体的な実施状況については、まず過疎地域神社のモデル構築の検証については、旧窪川町の神社関係者および地域住民を含む氏子を対象に、2回に亘っての成果報告とその後の複数回の意見交換を通じて、持続可能性についての議論を行った。調査結果を公開することによって、地域内の各集落と神社の置かれている状況を客観的に把握することができ、実際に今後の神社の護持運営にかかわる氏子にとって、調査研究の有効性が確認できた。また、神社関係者との意見交換で明らかとなった、限界集落における神社の状況についても、インタビュー調査を実施した。さらに、調査結果では、法人格を持たず、集落単位で祀られている神社が一定数あることを明らかにしたと同時に、少子・高齢化による担い手不足(後継者問題)や神社活動についての関連設問が少なかったことが課題として残った。これらの課題解決のための調査研究の計画についてはすでに検討を進めている。 次に、課題研究に関する資料の整理については、調査対象地域の基本情報を整理し、データとしてまとめた。そのうえで、追加調査として、小規模神社かつ護持運営が困難な状況に置かれている集落神社の祭りに参加し、氏子を対象にしたインタビューを行った。また、各集落の神社データについても、神社関係者(神職・氏子)の協力を得て活動状況一覧を過去との変化を中心にまとめ、さらに地域の神職の協力を得て実際の103社ある神社に直接足を運び、境内の様子を撮影し、データとしてまとめた。 以上のとおり、全般的に当初計画通りの研究を進捗させ、所期の成果を果たすことができた。
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