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2018 年度 実施状況報告書

Musicus・Musikantの概念を用いた近代ドイツ音楽教授史の総合的な研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K16713
研究機関北海道教育大学

研究代表者

小野 亮祐  北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10611189)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード教会音楽 / 学校音楽 / 教員養成学校(Lehrseminar) / 教会オルガニスト / カントール / 学識者 / 大学 / 徒弟制
研究実績の概要

前年度に引き続き、Musicus型の音楽家の調査及び、Musikant型の音楽家についての調査をドイツのザクセン地方、旧プロイセン地方(現ベルリン・ブランデンブルク及びポーランドを含む)、バイエルン地方、オーストリア(主にウィーン周辺)の公文書館において進めた。前者についてはこれまでの調査から特に19世紀の教員養成学校での音楽教授や音楽に関する文献の蔵書などを中心に調査を行った。またそれに付随して、バイエルン地方の中等学校の音楽教授に関する資料や、初期の音楽院の設立に関する資料も得ることができた。また、教会オルガニストやカントールといった人物に関する資料を得ることができた。
その結果、主に18世紀ごろまでの学識を背景としたMusicus型の音楽教授や音楽家は19世紀以降の近代国家制度の整備に従って、近代的な意味での学校制度の中へと徐々に移行されていったと推測された。つまり、大学のようなアカデミックな学識者から離れてゆくことを意味するが、学校(大学)とキリスト教会との分離はそうすぐには生じなかったので、教会と音楽教育の一体性という意味では、19世紀半ばごろまではなおも中世からのキリスト教的教養の伝統の範疇にMusicus型の音楽が受け継がれたと考えられる。
一方でMusikant型の音楽家についても資料収集を行い、主に彼らが就職などで提出したと考えられる証明書や履歴を収集することができた。この資料についてはもう少し解読を進めてゆきたいと考えている。
また、研究発表としては日本学表現学会の全国大会にて、昨年度派生的に資料を発見した、子供用に特化された音楽(おもちゃの交響曲)に関する報告を行った。また全面的に本テーマにかかわるものではないが、以前から執筆しているWeb連載記事においても、本研究について反映させることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

手書きの古文書資料の解読に時間がかかっており、それらに基づいたアウトプットができなかったものの、資料収集については予定遂行できたことによる。

今後の研究の推進方策

最終年度となる次年度は、これまで収集した資料の解読を進めるとともに、19世紀に設立された音楽院(音楽大学)における、教会音楽家(特にオルガニスト教育)の教育についてと、それ以外の専門の音楽家の教育についての調査を行いたい。つまり、本研究での分け方で言えば、前者はMusicus型で後者はMusikant型の音楽家であるが、音楽院という19世紀に設立されたキリスト教的教養の伝統に基づかない新しい教育の場で、この二つのタイプの音楽家養成がどのように共存・並存していたのか、またいかに変化してゆくのかを探りながら、19世紀の音楽家の在り方、現代の音楽家像の成立について考察を進めたいと考えている。
そのためには、当初の研究計画にあったライプツィヒ音楽院とともに、ドイツ各地にある(あった)音楽院の資料を現地で調査収集してきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

補完的な調査を行ったため旅費があらかじめ交付されていた額以上に必要となり、次年度分を前倒しした。10万円単位でしか前倒し額を設定できなかったため、端数のような形で残が出た。これは次年度の調査の旅費に使用する予定である。

備考

研究成果の一部を盛り込んでいる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 19 世紀ドイツにおける「《おもちゃの交響曲》現象」序説2018

    • 著者名/発表者名
      小野亮祐
    • 学会等名
      日本音楽表現学会
  • [備考] Web連載『バイエルの謎』その後~無自覚な音楽史 (音楽之友社サイト)

    • URL

      http://www.ongakunotomo.co.jp/web_content/bayer_sonogo/index.htm

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公開日: 2019-12-27  

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