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2019 年度 実績報告書

バウムガルテンの「美的/感性的真理」――芸術に固有の真理の成立とその継承

研究課題

研究課題/領域番号 16K16715
研究機関上智大学

研究代表者

桑原 俊介  上智大学, 文学部, 助教 (30735402)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード美学 / バウムガルテン / 論理学 / 弁論術 / ルネサンス
研究実績の概要

1、美学の成立と論理学における心理主義との関係性について前年度に実施した学会発表の原稿を加筆修正し、学術論文として発表した(雑誌論文①)。本論文の主たる意義は、(1)先行研究において看過されてきた美学設立当時の論理学の実像を明らかにし、美学が論理学からの類推において構想されえた根拠を明確化した点、(2)心理主義的論理学に即して、美学の人間学としての側面を浮き彫りにした点などにある。
2、美学の成立条件の一つとして、論理学と弁論術の関係性の歴史的変遷を研究した(学会発表①)。そこでは、ルネサンスにおける両者の統合という歴史的にも稀有な事例に着目し、中世の形式論理学が弁論術の下に統合され、旧来型の推論形式とは異なる、他者の説得や対話・反論といった弁論術の技法をベースとしたまったく新しい「弁論術的論理学」(弁証術)が成立した事実を明らかにした。その結果、(1)両者の統合が、17世紀における学問の方法論的刷新(学問の近代化)に結びついたこと、(2)経験的な近代科学においてすら、弁論術的な技法が真理の論証方法の枠組みを提供したこと、(3)だが、弁論術に固有の領域は、よりいっそう美的・芸術的な領域に限定されていったことなどを明らかにした。本発表の主たる意義は、(1)従来の研究では弁論術とは無縁だと考えられてきた近代的学問(近代科学)の成立にも、弁論術が一定程度前提とされていた事実を明らかにした点、(2)先行研究が不十分であった、論理学との関係性に基づいて弁論術の歴史的変遷を跡づけた点などにある。
3、以上のごときルネサンス以来の論理学と弁論術の関係性の変化が、近代における「自由学芸」の「三科」の見直しや組み替えを促し、バウムガルテンが美学を「論理学からの類推」「弁論術の一般化」として構想しうるための重要な構造的条件の一つを構成した事実を明らかにする学術論文を現在執筆している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 論理学における心理主義と美学の成立――一六世紀から一八世紀中葉にいたる心理主義的論理学の展開にそくして2019

    • 著者名/発表者名
      桑原俊介
    • 雑誌名

      美学

      巻: 255 ページ: 13-24

    • 査読あり
  • [学会発表] 弁論術的弁証術――ルネサンスにおける弁論術と弁証術の統合とその歴史的位置づけ2019

    • 著者名/発表者名
      桑原俊介
    • 学会等名
      上智哲学会第91回大会
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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