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2018 年度 実績報告書

日本の洋楽受容史におけるアメリカの影響―ヴォーリズ建築にみるピアノの普及―

研究課題

研究課題/領域番号 16K16717
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

齊藤 紀子  お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 特別研究員 (60769735)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード洋楽受容史 / ピアノ / ヴォーリズ / アメリカンホーム / 洋風住宅 / 家庭音楽 / 音楽学 / 近代日本
研究実績の概要

関西圏を中心とする調査から、施工当初からピアノを備える建築が数多くあることがわかった。ヴォーリズは、洋風住宅を購入しようとする日本人に、居間にピアノを備えることを説いている。ヴォーリズ建築は文化財に指定され、現存するものも多い。ピアノや蓄音器、レコード、楽譜も保管する京都の駒井家住宅を事例に、関連する史料もあわせて考察し、具体的な音楽の実践状況を明らかにした。
ヴォーリズは、ミッション系女学校の設計も数多く手がけている。プール学院を事例に、授業や学校行事での使用、地域の西洋音楽文化の普及との結びつき、ヴォーリズに新校舎の設計を依頼するための資金調達など、教育機関におけるピアノの多様な役割を示した。
ヴォーリズ自身、ピアノやオルガンを弾くことができ、自宅や建築事務所にも楽器を備え、アメリカ製のピアノやオルガンを輸入・販売していた。ヴァイオリンを弾くことができ、合奏を楽しんだ秘書髙木五郎の伝記からは、ヴォーリズが「教養ある人格を造る」ものとして音楽を捉えていたことがわかった。
コロラド・カレッジの学校史やヴォーリズが在学していた頃の校舎の調査から、ヴォーリズ建築とそこに備えられたピアノのモデルの1つとして、同校が考えられる可能性が浮かびあがった。
総じて、建築を中心に築かれてきたヴォーリズ研究に対して、音楽学の視点から新たなヴォーリズ像を提示することができた。洋楽受容史研究に対しては、ドイツのHausmusikを中心に論じられてきた日本の家庭音楽について、音楽が実践された場(住宅)に着目し、日本の洋風住宅の多くがアメリカンホームをモデルとしており、ヴォーリズ建築のみを通しても、ピアノの普及に一役買っていたことを具体的に示し、アメリカ由来の影響を再考する意義を見出した。

備考

お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所(編)『文部科学省特別経費(国立大学機能強化分)「グローバル女性リーダー育成カリキュラムに基づく教育実践と新たな女性リーダーシップ論の発信」平成29年度成果報告書』113-115頁(2018年)

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ミッション系女学校におけるピアノの様々な役割:三木楽器並びにヴォーリズ建築のプール学院の史料をもとに2018

    • 著者名/発表者名
      齊藤紀子
    • 雑誌名

      人間文化創成科学論叢

      巻: 21 ページ: 241-249

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 『髙木五郎傳』の最終章にみるW. M. ヴォーリズの音楽観:「教養ある人格を造る」音楽2018

    • 著者名/発表者名
      齊藤紀子
    • 雑誌名

      お茶の水音楽論集

      巻: 21 ページ: 11-17

    • 査読あり
  • [雑誌論文] W. M. ヴォーリズの住宅設計にとり入れられたピアノの背景:生活文化としてのピアノ2018

    • 著者名/発表者名
      齊藤紀子
    • 雑誌名

      文化資源学

      巻: 16 ページ: 1-16

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 文化資源学と私2018

    • 著者名/発表者名
      齊藤紀子
    • 雑誌名

      文化資源学

      巻: 16 ページ: 92-93

  • [学会発表] 駒井静江のピアノの稽古:女学校出身者の趣味・教養としてのピアノの実践2018

    • 著者名/発表者名
      齊藤紀子
    • 学会等名
      日本音楽学会第69回大会
  • [学会発表] 小規模多目的施設におけるピアノ:ヴォーリズ建築のモデルとしてのコロラド・カレッジ2018

    • 著者名/発表者名
      齊藤紀子
    • 学会等名
      日本音楽教育学会第49回大会

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公開日: 2019-12-27  

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