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2018 年度 実績報告書

国際的文脈における戦後イタリア美術と文化的葛藤――芸術・産業・メディア

研究課題

研究課題/領域番号 16K16721
研究機関京都造形芸術大学

研究代表者

池野 絢子  京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (80748393)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード戦後美術 / 芸術批評 / アルテ・ポーヴェラ / ポップ・アート
研究実績の概要

最終年度である本年度は、とくに1960年代のイタリアにおけるポップ・アートの受容に注目して研究を進め、国際的文脈におけるイタリアの芸術家たちの文化的葛藤を浮き彫りにすることを試みた。具体的な成果は以下の三点である。
1.ローマにおけるポップ・アートの展開:マリオ・スキファノ、タノ・フェスタ、フランコ・アンジェリらローマのポップ・アーティストたち、および彼らを支援したラ・タルタルーガ画廊について調査を行った。また、ポップ・アートが当時イタリアにおいていかに受け止められていたかについて、新聞・雑誌等の調査を行った。この結果、ポップ・アートはアメリカ文化と関連づけられつつも、そのイタリアにおける伸長は、むしろヨーロッパ文明の危機の徴候として理解されていたことがわかった。
2.ピーノ・パスカーリの個別研究:パスカーリはアメリカ美術に強い影響を受けつつ、独自の彫刻群を制作した作家である。パスカーリ財団のアーカイヴ資料を検証し、彼の「虚構の彫刻」と呼ばれるシリーズが、アメリカのポップ・アートとの交渉/葛藤のもとに形成されたものであることを明らかにした。この成果は論文にまとめ、公表した。
3.地方習俗の残存の問題:パスカーリの制作には、ポップ・アートの影響だけではなく、イタリア南部に古くから根付いていた呪術的儀礼の影響が認められる。1960年代以降のイタリアの芸術には、そのように、社会の均一化の過程で失われていく地域固有の習俗や儀礼を芸術に取り込もうとした例が見受けられることを明らかにした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [学会発表] 1960/70年代の都市と芸術:イタリアの事例から2018

    • 著者名/発表者名
      池野絢子
    • 学会等名
      シンポジウム「1970年前後、都市と芸術:ゴードン・マッタ=クラークを起点に」
    • 招待講演
  • [図書] 非在の場を拓く:文学が紡ぐ科学の歴史2019

    • 著者名/発表者名
      中村靖子、H・M・シュラルプ、松井裕美、大林侑平、中川拓哉、池野絢子、越智和弘、大平英樹、三浦俊彦
    • 総ページ数
      586
    • 出版者
      春風社
  • [図書] SHINYA SAKURAI Colors & Cultures(図録)2018

    • 著者名/発表者名
      Shinya SAKURAI, Adolfo Francesco Carozzi, Ayako IKENO
    • 総ページ数
      68
    • 出版者
      GlobArt Gallery

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公開日: 2019-12-27  

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