本研究では、後期ゴシック建築であるウィーンのシュテファン大聖堂と、そこに配されたハプスブルク家の皇帝フリードリヒ三世の墓碑に注目し、墓碑と霊廟の関係性、および、それらが有した機能や役割について再解釈を試みた。研究に際しては、オーストリアやドイツ、フランス、スペインなどにおけるハプスブルク家に所縁のある墓や霊廟の調査を実施したほか、彫刻と建築の関係性や受容などを考察するための手がかりとして、祭壇彫刻や祈祷書なども視野に入れた。以上の調査を踏まえ、ハプスブルク家の霊廟としてのシュテファン大聖堂の位置づけを再検討するとともに、フリードリヒ三世墓碑の制作から設置までの経緯について検証した。
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