研究課題/領域番号 |
16K16728
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 早紀子 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD) (40770904)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 不動明王 / 密教 / 図像 / インド / 中国 / 日本 / 美術史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、七~九世紀頃のインドを対象として、図像学的観点から不動明王の形成過程を明らかにすることにある。そして、八~九世紀頃の中国における展開を踏まえ、九世紀の日本に請来された不動明王図像の成立背景を究明することを目指している。 初年度である平成28年度は、インドにおける不動明王の形成過程を中心に研究を遂行した。具体的には、遺品の知られないインド中期密教の不動明王の図像形成過程について、中国や日本の不動明王像と共通する図像上の特色を有する尊像(尊名不明のため、以下では「不動明王形像」と記す)に着眼し、この「不動明王形像」と不動明王との関連を図像学的観点から追究した。 本年度前期には、国内で可能な文献や画像の資料収集を行い、インドの「不動明王形像」の現存遺品について調べた。さらに、8~9月には、イギリス・ドイツ・イタリアの美術館・博物館に所蔵されるインド美術を対象としたヨーロッパ調査を実施した。ヨーロッパ調査では関連遺品の現状確認や写真撮影などを行い、基礎資料の収集に努めた。これらの写真や図版に基づき、本年度後期には「不動明王形像」の細部図像を比較検討し、その特色について整理・分析した。 今後は、「不動明王形像」に関する資料収集を継続するとともに、「不動明王形像」がどのような尊格とともに表現されているのかを分析し、レリーフの主尊との関係に注目して「不動明王形像」の尊名比定を行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である平成28年度は成果公表にまでは至らなかったものの、本研究の基盤となる資料収集は着実に進んでおり、調査研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も引き続き国内外での遺品調査と資料収集を継続し、インドにおける不動明王の形成過程およびインドの「不動明王形像」から中国や日本の不動明王像への展開の様相を考究し、九世紀の日本に請来された不動明王図像の成立背景を明らかにする。
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