本研究は、死者を葬るための複合施設であった後漢時代の墓域に着目し、そこに建つ石闕の存在を、中国美術史上に明確に提示することを目的としたものである。 2年間にわたった調査研究では、これまで実施した石闕の図像調査を引き継ぎつつ、倒壊した石闕の残石を調査対象に加えることで石闕の実物資料をより充実させることができたのは大きな収穫であった。また、未報告の孝子たちの教訓物語が彫刻されていることを確認し、それを研究会で口頭発表するとともに、学術論文として発表する準備を整えることができた。 よって、本研究では、後漢時代の儒教説話を儒教図像史の上に定位させることに、一定の成果を残すことができたものと考える。
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