ナチス政権が崩壊し終戦を迎えた時、ドイツに住む人々の生活は完全に破壊されていた。人々に課されたゼロからの復興の出発点は、しばしば「零時Stunde Null」と呼ばれるが、日本美術の研究拠点もまたゼロからの復興を強いられた。本研究課題では、終戦直後のドイツにおける日本美術研究の状況と、その復興について調査・検討を行った。事例研究として、日本美術史家ディートリヒ・ゼッケルの戦後の活動および西独で1950年代初頭に開催された日本美術の展覧会をとりあげ、さらにドイツ人芸術家ハンス・リヒターと洋画家長谷川三郎の米国における交流について、戦後の日独美術交流が断絶した状況下で生じた事例として分析した。
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