染料は、染色以外に、絵画、錦絵版画、彫刻彩色にも用いられていた。中でも、明治初期に錦絵に多用される赤色色材は、これまで合成染料とされることが多かったが、天然染料コチニールから作られたカーマインレーキであったことを明らかにした。一方で、コチニール染めの毛織物などは遅くとも江戸後期には輸入され、国内市場に出回っていた。 いずれも国内での生産製造はなされておらず、製品として輸入されていたと考えられる。また、コチニールは、欧州において、同時期に、染色、色材の両方に利用されていたにも関わらず、日本国内への輸入は、100年以上の開きがあったと推察される。
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