研究課題/領域番号 |
16K16738
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研究機関 | 山梨県立博物館 |
研究代表者 |
松田 美沙子 山梨県立博物館, 山梨県立博物館, 学芸員 (60746311)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 浮世絵 / 包装紙 / 菓子袋 / 白粉袋 / 実用的 / 出版 / 江戸時代 |
研究実績の概要 |
本研究に関して、今年度は日本国内の博物館を中心に、図書館・資料館等で浮世絵師の手による実用的な作例の現地調査を行った。とりわけ、浮世絵師が手掛けた菓子袋を今年度の調査対象の主な資料として取り上げ、集中的に調査を実施した。菓子袋は実用的な作例の中でも、博物館や資料館で比較的所蔵数が多いものであり、調査対象として取り上げやすかったという利点がある。その結果、さまざまな浮世絵師が菓子袋作成に関わっていた点、また菓子袋の制作背景など、一定の調査結果を提示することが可能となった。 なお、調査は基本的に写真撮影を伴うものとし、作品のデータを整理する際により視覚的に確認できるように努めた。収集したデータをまとめた上で、描かれた画題や媒体の傾向等の考察も行った。また、浮世絵師や江戸時代の出版業界に関する書籍等の入手も行い、当時の制作背景等の考察も実施した。 研究の途中成果として、今年度は山梨県立博物館で所蔵する菓子袋を主とする考察を行い、『山梨県立博物館研究紀要第12集』に論文の掲載を行った。本論考においては、山梨県立博物館所蔵資料を中心として、現状で判明している浮世絵師が携わった菓子袋制作の一端を提示したが、今後も追跡調査を行い、研究成果を随時公表していくこととする。 なお、今年度取り上げた菓子袋以外にも浮世絵師の実用的作例は多く存在する。今後さらなる調査を行い、資料データの母体数を増やすことによって、菓子袋以外の作例も提示し、より精密な調査結果を示すことを来年度の目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多くの博物館等で調査を行うことはできたものの、所属の業務の増加等により、調査結果をまとめる十分な時間が確保できず、それに伴い十分な途中成果報告を行うことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き浮世絵師の実用的作例の調査も行うが、来年度は調査結果の考察作業に多く時間を費やす予定である。制作背景等を十分に考察した上で、学会発表及び論文で多く成果を公表できるように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 所属業務の増加等により十分な研究時間が確保できなかったため、予定していた資料調査及び調査結果の考察、論文での発表等、本年度中に十分に行うことができなかったものがあり、それに伴い経費の使用額が当初の予定より少なくなってしまったため。
(使用計画)資料調査を実施(旅費)し、その調査ならびに結果について調査協力者等と情報を共有し、検討する機会を積極的に設けるなど(人件費・謝金)、計画的な執行に努める。
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