研究課題/領域番号 |
16K16746
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
河村 彩 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 助教 (20580707)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リシツキー / クルツィス / アイソタイプ / 構成主義 / ノイラート / イゾスタット |
研究実績の概要 |
当該年度は、9月にラトヴィア及びモスクワに滞在してロシア構成主義に関する現地調査をおこなった。旧ソヴィエト領ラトヴィアのリガ国立美術館では、グスタフ・クルツィスによるポスターのエスキスを調査し、ロシア構成主義のモンタージュ技法を解明するための貴重なリサーチを行うことができた。またモスクワのトレチャヤコフ美術館、モスクワ市近代美術館では構成主義作品の調査を行い、国立レーニン図書館では「イゾスタット」から出版されたものを中心に、1930年代のアルバムおよび書籍の調査を行った。この調査により、リシツキーおよびオーストリア出身のオットー・ノイラートが携わった、ソヴィエトにおけるアイソタイプの展開を解明する手がかりを得た。 また11月には再度モスクワに渡航し、革命100周年にあわせたリシツキーの大規模な展覧会(新トレチヤコフ美術館、ユダヤ美術館の二会場での開催)において調査を行った。この調査では、初期のユダヤルネサンス期の作品や、「プロウン」の作品およびエスキスなど、これまであまり公開されてこなかった貴重な作品を目にすることができた。 当該年度は論文Revolutionary Planes: Books and Exhibition Rooms by El Lissitzky ( Русская культура под знаком революции [革命の旗印の元でのロシア文化]. Валерия Гречко, Су Кван Кима, Сусуму Нонака (под. ред.) Белград: Логос. 2018. С. 217-225)を出版し、単著『ロシア構成主義』(共和国、2018年出版予定)のリシツキーに関する第5章および第6章を完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
革命100周年にあわせたリシツキーの大規模な展覧会での調査を行い、貴重なリシツキーのグラフィック作品を目にすることができたため、とりわけ初期の平面作品に関して新しい知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の調査を踏まえ、2018年7月1日にウランバートルのモンゴル国立大学で開催される国際中欧・東欧研究協議会のEast Asian Conferenceにおいて、リシツキーを中心とするソヴィエトにおけるアイソタイプおよび1930年代のグラフィックデザインに関する口頭発表を予定している。この口頭発表およびこれまでの調査をもとに、日本ロシア文学会、表象文化論学会、美学会等の学会誌や紀要等、もしくは海外の学会誌等で、リシツキーのグラフィックデザインに関する論文を発表することを予定している。
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備考 |
研究成果は上記ホームページからダウンロード可能
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