研究課題/領域番号 |
16K16748
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
川本 徹 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (10772527)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アメリカ西部 西部劇 日記 アダプテーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、19世紀から現在にかけて、アメリカ西部のイメージが世界に流布したプロセスを包括的に解明することである。本年度は4年計画の3年目に当たる。昨年度までは国や地域の越境を重視したリサーチを行ったが、その際に明らかになったのは、メディアの越境についても理論的に考察する必要性である。そこで本年度は、アダプテーション研究の最新の成果を吸収しつつ、文学、絵画、写真、映画等の諸メディアの関係性について、アメリカ西部を舞台とする作品を取り上げて検討した。とくに重点的にリサーチしたのは、19世紀半ばにオレゴン・トレイルを旅した女性開拓者たちの日記と、その日記から多様なインスピレーションを得た2010年の映画『ミークス・カットオフ』である。この研究成果の一部を「ボンネットを被った西部劇 女性開拓者の日記と『ミークス・カットオフ』」というタイトルのもと、アメリカ学会第52回大会のアダプテーション研究部会で発表した(部会の司会と報告執筆も担当)。19世紀の日記と21世紀の映画の関係性について、近代以降の視覚文化史の流れを踏まえて考察する内容であり、すでに論文化に向けても準備を進めている。従来この種の研究であまり重視されなかったノンフィクション文学(日記や旅行記等)を取り扱うことは、本研究の当初からの課題であった。この点に関しては本年度中に一定の成果が出せたように思う。リサーチを進めるうちに、19世紀アメリカ文学について視覚文化史の観点からさらに考究する必要性を感じたため、最終年度となる次年度はこの点にも力を入れるようにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リサーチそのものは昨年度同様着実に進んでいる。昨年度実施した研究発表に基づく論文も完成したが、諸般の事情により公刊が遅れているため「(3)やや遅れている」とする。
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今後の研究の推進方策 |
まず今年度のアメリカ学会での研究発表の成果を次年度中に論文として公刊するようにしたい。また今年度はメディアの越境を主たるテーマとしたが、次年度はふたたび国や地域の越境についても考察を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を検討しながら、年度内に入手不可能と判明した資料があるため、未使用額が生じた。次年度は「今後の研究の推進方策」に記した研究を進めるため、資料購入、国内外の図書館やフィルム・アーカイヴでの調査、および研究発表のための旅費に費用を当てる予定である。
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