研究課題/領域番号 |
16K16756
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
溝井 裕一 関西大学, 文学部, 准教授 (60551322)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 水族館 / 表象 / 文化史 / 人と動物の関係学 / 人と動物の関係史 |
研究実績の概要 |
報告者は、ヨーロッパ、アメリカ、日本の水族館の歴史に関する資料の収集、分析をおこなった。とくにヨーロッパに関しては、イギリス、フランス、オランダ、ベルギー、イタリア、モナコ、ポルトガルにある歴史の古い水族館や養魚池(ないしそれらの跡)に足を運ぶとともに、一部は館員に案内されつつ舞台裏の見学をおこなった。また、館員や現地研究者とのコンタクトを通じて、貴重な史料を入手することに成功している。 英国滞在中、報告者は単著の原稿を執筆、現時点で約70%完了している。欠落した情報の追加ならびに修正をおこなったうえで、平成29年度以内に出版することをめざす。 また『関西大学 文学論集』第66巻第3号(2016年12月)に「The Exhibition of Oceans: A History of the ‘Immersive Exhibition’ at Public Aquariums from the 19th to the 21st Century」を投稿した。 同時に、古代~中世ヨーロッパにおける水族のイメージを扱った論文を『昔話とジェンダー』(仮題、大野久子編、勉誠出版、2017年出版予定)に寄稿、現在校正の段階にある。 さらに、ローハンプトン大学のセミナー「CRESIDA」(The Centre for Research in Evolutionary, Social and Inter-Disciplinary Anthropology)において、「The Exhibition of Oceans: Cultural Histories of Aquariums」のタイトルで発表をおこなった(2016年10月20日)。 現在、ローハンプトン大学のギャリー・マーヴィン教授とともに、水族館文化に関する共著の計画を立てているが、これはまだ計画段階にあり、具体的な内容、出版時期等は定まっていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
イギリスで1年にわたる在外研究の機会が得られ、ヨーロッパの水族館や図書館へのアクセスがきわめて容易であったこと、またインターネットの充実により史料収集が格段に便利になったおかげで、当初の予定以上の速度で論文・著書の執筆をおこなうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
ヨーロッパで収集した史料の分析だけでなく、イギリスではむしろ入手が難しかった日本、アメリカの水族館史料をより充実させる必要がある。また今後は、文献のみに依存せず、各国の水族館関係者などへのインタビューをおこなうことを検討している。 いずれにせよ、一連の著作においては、ただ水族館の過去を振り返るのみならず、「海洋観」ならびに「水族観」の表象として、その未来像はいかにあるべきかを積極的に考察していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は関西大学の在外研究者としてイギリスに滞在していたため、日本~ヨーロッパ間の渡航費がかからなかったことが、次年度使用額の発生につながった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額を含め、平成29年度はアメリカ、ヨーロッパへの渡航ならびに水族館関係の資料収集、現地調査、関係者へのインタビュー等に使用する予定である。
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