研究課題
若手研究(B)
中国・初唐の太宗皇帝に関連する資料と平安時代の8・9世紀の漢詩文や漢詩文集の序文、天皇の詔勅、皇太子に対する教導書などを読解、比較検討することを通じて、100年以上にわたって太宗の文治政策や文学観、政治観の影響が見られることや、従来、9世紀初期に盛り上がり、中期には衰退したと見なされてきた「文章経国思想」は担い手が天皇から摂関家に交代したのみであり、9世紀後期においても続くことを解明した。
人文学
日本古代漢文学史上の重要課題である「文章経国思想」は、9世紀初頭の嵯峨朝、中期の清和朝、後期の宇多朝・醍醐朝それぞれにおいて中国・初唐の太宗皇帝の「貞観の治」に伴って示された文学観・政治観を受容した結果、あらわれたものであり、「貞観の治」受容の展開はすなわち「文章経国思想」の展開であると解明したことで、日本文学史に新たな視座を提供した。