研究課題
若手研究(B)
本研究では、『日本書紀』享受の在りようについて、従来は見落とされがちであった非卜部系本に焦点を当てた。というのは、これまでの『日本書紀』研究は卜部系本を主たる対象とする一方で、卜部系本に属さない写本群を等閑視してきたためである。そのため報告者は、三嶋本・玉屋本・為縄本といった、血縁関係の濃い本を研究対象として、その比較検討を行った。その結果、卜部系統に属さない写本が『日本書紀』以外の思想的・社会的文脈の影響をどのように受けてきたのかを明らかにすることができた。
日本文学
本研究の学術的意義としては、第一に日本文学研究内におけるそれ、第二に学際的研究におけるそれを報告することが可能である。第一に、これまで上代文学とそれ以降の時代分野を対象とする研究とは断絶状態にあったが、その紐帯をなす研究成果を提示できた。第二に、日本文学と思想史研究や歴史学研究とのかけはしとなりうる研究成果を提示できた。