『出雲風土記解』は江戸時代の内山真龍が著した『出雲国風土記』の注釈書で、広く読まれたものである。ただし、刊行されることがなく、写本によって伝えられたため、諸本による異同も認められる。また、『出雲風土記解』の中には、先人の書き込みを残しつつ後人がさらに書き加えていった写本もある。このような『出雲風土記解』を分析することで、江戸時代の『出雲国風土記』の受容の在り方の一端を探りつつ、現代の『出雲国風土記』研究につなげていくことが本研究の目的である。 平成30年度は、①『出雲風土記解』写本の調査、②写本の精査による『出雲国風土記』本文読解の深化の2点に取り組んだ。 ①では宮内庁書陵部などに赴き、『出雲風土記解』及び『出雲国風土記』を手に取り、比較調査した。『出雲風土記解』への書き込みは校異情報や注釈など多様であり、現時点では国学者たちの書き入れの分析をしている。 ②では『日本書紀』と『出雲国風土記』の関係を説いた論を公にした。
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