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2016 年度 実施状況報告書

卜部兼右本系『先代旧事本紀』の研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K16771
研究機関早稲田大学

研究代表者

松本 弘毅  早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (30434244)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード先代旧事本紀 / 文献学 / 卜部兼右本 / 卜部兼永本 / 古事記
研究実績の概要

『先代旧事本紀』の卜部兼右本(以下「兼右本」)を中心に研究を進めた。兼右本は卜部兼永本(以下「兼永本」)『先代旧事本紀』との関わりにおいて注目されてきた写本である。その特徴は、兼永本の流れを汲む他の写本と異なり、今は失われた「伊勢系」と呼ぶべき系統の写本との校合がなされていると、鎌田純一は指摘した。その「伊勢系」写本と関わりが深いとされる『類聚神祇本源』や『元元集』といった書に引用される『先代旧事本紀』の分析を行ったが、それを踏まえて「伊勢系」と鎌田がいう系統の写本を改めて考えた。鎌田は「伊勢系」という呼称・把握の仕方を、『古事記』写本との関わりから考えていたが、それは誤りであることをまず指摘した。『古事記』写本との関係から「伊勢系」と呼び、把握してしまうことは、『先代旧事本紀』写本系統の把握を誤らせる。実際、伊勢系『古事記』が引用する『先代旧事本紀』と兼永本・兼右本『先代旧事本紀』を比較してみると、必ずしも深い関わりが見つかるわけではない。以上から、鎌田のいう「伊勢系」旧事本紀とは、特に『類聚神祇本源』や『元元集』といった伊勢神道書の関わりが見られる(前述)ところからは、「度会系」などの把握の仕方をするべきではないかと、論文で提唱した。
また上代文学の写本研究と複製本の公刊という側面から、猪熊本『肥前国風土記』の複製本についても調査し、不明な点や現在の状況等を確認し、まとめ上げた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

卜部兼右本『先代旧事本紀』の最大の特徴である他系統の析出を、具体例に則して示すことができたため。

今後の研究の推進方策

卜部兼右本と卜部兼永本の、写本系統的関係を分析する。兼右本は兼永本の流れを汲むと言われているが、具体的に二写本の位置関係がどのようになっているかは明らかにされていない。二写本の詳細な観察を通して、書承関係の如何を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

所要額にほぼ同じ額を執行し、予定通りであったが、ちょうどの使い切りとはならなかった。次年度分に持ち越し、適切に使用したい。

次年度使用額の使用計画

未使用分は次年度の写本の複写費、もしくは旅費に組み込む予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 2件)

  • [雑誌論文] 猪熊信男旧蔵『肥前国風土記』の複製本をめぐって2017

    • 著者名/発表者名
      松本弘毅
    • 雑誌名

      古代研究

      巻: 50 ページ: 38-43

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 「伊勢系」先代旧事本紀の再検討2016

    • 著者名/発表者名
      松本弘毅
    • 雑誌名

      国文学研究

      巻: 180 ページ: 15-27

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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