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2017 年度 実施状況報告書

翻訳と創作の創造的連関―昭和期の世界文学の受容と概念形成

研究課題

研究課題/領域番号 16K16772
研究機関武蔵大学

研究代表者

戸塚 学  武蔵大学, 人文学部, 准教授 (70633014)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード世界文学 / 中村真一郎 / 堀辰雄 / プルースト
研究実績の概要

本年度は、堀辰雄旧蔵洋書のプルースト『失われた時を求めて』書き込み調査を継続した。その具体的な内容については「奏」春・秋号に掲載して報告を行った。プルーストについては書き込み箇所にそれぞれの巻ごとにかなり濃淡があるというだけでなく、後半の巻には第一巻のような試訳を書き込むような書き込みが少ないことが明らかになった。ただし、後半の巻でも部分的に堀が注目して詳細に下線などを引いて内容を要約した文言を書き込んでいる箇所があり、堀は参考書を見ながら内容によって部分的に注目し、少しずつ断片を読み込むようにして同書を読み進めているという過程が明らかになった。
また本年度は中村真一郎に着目して日本近代文学への世界文学概念の受容過程についての研究を行った。その成果については、日本近代文学会2017年度の春季大会で報告を行った。中村真一郎の受容しているゲーテの「世界文学」概念は、おもに登場人物の造型やその会話などに内容として現れているという顕著な特徴があった。ただし中村の世界文学概念の特徴は西洋文学だけでなく日本の王朝文学を包含するような形になっていた。また既に『1946文学的考察』の時点からそうした特徴が見られ、初期の短篇小説にそうした考え方が内容として反映されていることを明らかにした。現代的な観点から「世界文学」を考究する試みとして現在世界文学アンソロジーの編集を行っているが、本年度は収録作品や編集方針について大半を決定し、現在出版社を通して個別の版権交渉やコラム解説等の分担執筆を進めているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していたとおりの状況で進行している。ただし、世界文学概念の受容過程については活字論文として報告する必要がある。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、本年度はプルースト関連書物の書き込み調査をまとめて活字化していく予定である。また、堀と堀口大学の翻訳の比較研究も今年度に着手し論文化へ向けて作業を進めていく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 堀辰雄旧蔵洋書の調査(十一)―プルースト⑤2017

    • 著者名/発表者名
      戸塚学
    • 雑誌名

      奏

      巻: 34 ページ: 132-150

  • [雑誌論文] 堀辰雄旧蔵洋書の調査(十二)―プルースト⑥(2017

    • 著者名/発表者名
      戸塚学
    • 雑誌名

      奏

      巻: 35 ページ: 138-166

  • [雑誌論文] 堀辰雄をめぐる本たち⑥―「むらさき」における「物語の女性」2017

    • 著者名/発表者名
      戸塚学
    • 雑誌名

      奏

      巻: 35 ページ: 64-72

  • [学会発表] パネル発表「『1946文学的考察』における「世界文学」のプログラム」、2017

    • 著者名/発表者名
      戸塚学
    • 学会等名
      日本近代文学会春季大会

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公開日: 2018-12-17  

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