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2017 年度 実績報告書

習作期における三島由紀夫文学生成過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K16777
研究機関比治山大学

研究代表者

九内 悠水子  比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (70726398)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード清水文雄書入 / 「古今和歌集」 / 「伊勢物語」 / 「文芸文化」
研究実績の概要

(平成29年度は、三島由紀夫の生成過程を解明すべく、清水を中心とする「文芸文化」同人と三島との関わりについての分析を、清水書入、書簡、「文芸文化」、『清水文雄戦中日記』等を手掛かりに行った。
まずは三島作品における古典の影響についてである。「文芸文化」同人との勉強会・交流を通じ特に「古今集」、「伊勢物語」の影響を強く受け、三島は意識的に、時に無意識的にこれらを作中に取り込んでいる。その一端として「みのもの月」における和歌引用の効果(教養と知性に満ちた登場人物の造型、王朝人の、「待つ」=「耐える」苦しみと悲しみを「重層的・立体的」に描出、和歌から和歌へと連想をつなぐことによる物語展開)を、書入を手掛かりに明らかにした。
このほか、清水が「衣通姫の流」において導き出した「古今和歌集」恋歌に見られる「喪失」・「永遠の恋人」(=「花」)の問題と、三島文学全般にわたって見られる「存在しないものの美」という思想の類似性である。特に「近代能楽集」(「班女」)にその傾向が顕著に見られるのだが、清水自身、その類似性に気付いていたことも書入からうかがえた。
また、「文芸文化」という場が三島由紀夫の生成過程にどのような影響を与えたのかを考えるため、「文芸文化」に寄稿した人物をリスト化し、所属団体や生年、業績等の整理を行った。寄稿者は、国文学者、日本浪曼派関係、文学者とバリエーションに冨んでおり、これを「清水文雄戦中日記」の記述と照らし合わせると、「文芸文化」創刊をきっかけに、清水をはじめとする同人の人間関係が国文学から文学者へと拡大し、同人の研究活動に刺激と影響を与えたことが見えてきた。またこのことは、三島の人間関係をも拡大させ、文壇への足掛かりをもたらし、かつその文学観にも大きな影響を与えた。
なお、本研究の成果については一部公表済みであるが、残りに関しては、平成30年度内での公開を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 三島由紀夫「みのもの月」論―『文芸文化』同人と「古今和歌集」―2018

    • 著者名/発表者名
      九内悠水子
    • 雑誌名

      比治山大学紀要

      巻: 24 ページ: 1-13

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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